1 リヴァイ・アッカーマン

無言の別れへの謝罪を

お前が好きだった。出逢って間もないあの日から今日までずっとだ。もうどれだけの月日を過ぎたか分かりゃしねえ。だがこのままお前の傍に居続けたんじゃ独占欲が過ぎて、お前と他者との幸せもそれに纏わる楽しみもやがてはまともに願ってやれなくなりそうで怖くなった。
俺はもう充分お前から幸せを貰った。次はお前が幸せになるべきだ、そうだろう。幸せにしてやれんのが俺じゃねぇなんてくだらねぇ冗談かそれとも何かの罰かと思っちまうが、幸せにしてやれなかったのは俺の力不足によるものだ。その技量の至らなさを大人しく恥じて、その座に相応しい者へ席を譲るべきだと判断した。俺の認めたお前が愛した者だ、きっと誰よりお前に相応しく魅力的で特別な人なんだろう。ならば俺は祝福を願える内に去る。それが何もお前に残せなかった俺が唯一してやれる最後にして最善の道だ。どうか、幸せになれ。
数々のお前の表情を見てきたが、その全てを愛していた。愛している、今でもだ。これからもきっと忘れる事は出来ないんだろう。それでいい。お前の名を、顔を、思い出す度にその幸せを願おう。元気でな。