恋をしていました(R20)

素敵な男性でした。オレの上司。手の届かぬ人。
どれだけ翼が血に染まっても、どれだけ指先や唇が泥で穢れても、彼は美しかった。美しい、――今も、です。
でも、駄目だと感じました。限界だと。
所詮は世界の違う人。所詮オレはガキで、何もかも彼に追い付かなかった。見合わなかった。
棄てられたとか、別れたとか、そんなんじゃないんです。それ以前の問題です。棄てられたとか、別れたとか、そっちの方が未だマシだったかな。それってオレを一人の人間として見てくれてたって事ですから。

何処を探したって居る訳ないのは理解していても、影を探さずには居られない。
そろそろ忘れてーなァ、って云う切実な願い。その一歩として、取り敢えずオレとお話、しませんか。
ああ、別に引き留めようとか思ってないです。今夜だけ、先ずは誰かと話したい。
貴方の姿は、男性なら問いません。でも、もし貴方が彼の姿をしていたら、…オレ、少し変になっちゃうかも、な。

もし気に掛けて下さった貴方は一先ずオレの部屋へ来る描写を添えて連絡くれますか。ああ、描写は短くて大丈夫ですから、お気軽にどうぞ。
慈善事業みたいだなんて嫌な顔はしないで下さい。お礼はしますよ。紅茶か、お酒で良ければ。最初に仰って頂ければ、貴方の好きな方を用意しておきます。

今だけ、彼の幻に甘えたい。
――貴方には嫌な役回りをさせますが、…どうか今だけ、許して下さい。