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FILE3.藤田 翔の日誌

僕の名前は藤田翔。
僕は私生児だ。母が父との不倫の末に作った子供…。
父は認知してくれたし、生活の面倒も見てくれている。
だけど、父の奥さんや子供にして見れば僕達親子は憎んでも憎み切れないだろう。
ましてや同じ学校に憎い女の子供がいるなんて異母兄の武人にとったら腹立たしいこと
この上ないだろうと思う。
だからといってあいつに僕の身体を自由にする権利なんてない。と思ってはいるけど
結局、僕は日々、あいつの性欲処理の対象として使われている。
僕は自分で言うのもなんだけどが、母に似た可愛い顔をしている。
でも、僕はこの顔にはコンプレックスを持っている。男なんだから男らしい顔の方がいいに
決まってる。そう武人のように恵まれた体格と父に似た男らしい引き締まった顔の方が良かった。
僕の欲しかったもの全てを持っていて、僕の身体を自由に扱う異母兄、桜井武人…。
高等部では生徒会長で品行方正な優等生の武人が実は嗜虐的な性格を持っていることは
誰も知らない。知っているのはこうやって抱かれている僕だけ…。
僕だってあいつのことは憎くてたまらない。
憎くて憎くてたまらないはずだった…のに…。

 「あっ…やめて…よ…」
  体育の終わった3時限目、武人はどこからか現れ
 て僕を体育用具室に連れ込み、体操服のズボンを
 下着ごと引き擦り下ろしていた。
  腰を高く上げさせまじまじと僕の秘孔を見ている。
 「まだ…腫れてるな。ここ…」
  そう言って昨日散々弄んだ所を指でなぞる。
 「あっ…」
  ちょっと触られただけでも僕の後孔はヒクついた。
 「何、期待してんだよ。翔…」
 「期待…なんて…」
 「嘘ついても解るさ。身体がちゃんと言ってる。」
  カァッと顔に血が集まる。すっかり武人に飼い慣
 らされた僕の身体はほんのちょっとの刺激でも疼い
 てしまう。

   「あの女の子供だもんな。当たり前か…」
   「母さんは…関係な…あっ…っぅ…」
    武人はいきなり後孔に指を突っ込んだ。僕は痛みに顔を歪めた。
   「口答えするんじゃない。愛人の子がっ!!」
    前戯もなにもない挿入に僕は痛みに切り裂かれる。
   「くッ…あっ…うぅ・・・」
    慣れた身体は数回の抽挿で快感に変わるはずだった。だけど快感に変わる前に武人は指を抜いて
   しまった。
   「ふっ…あっ?」
   「お前を気持ち良くしてどうするよ。」
    いきなり突き放され、マットの上で武人に尻を蹴られた。
   「いたッ…!」
   「犯る気が失せた。」
    武人はそう言い残してささっと用具室から出て行ってしまう。僕は呆然としてその場に残された。
    悔しくて涙が出そうだったけど、グッと堪える。僕は思いっきりマットに拳をぶつけていた。
   「何なんだよ…あいつはっ!!」
2
その日の放課後。
帰ろうとしていた僕は下駄箱で武人に捕まって、誰もいなくなった高等部の教室に引っ張り込まれた。
そして、いきなり着ているもの全てを剥ぎ取られた。
「ちょっ…まっ…て…」
「うるさいなぁ。黙って犯らせりゃいいんだよ。お前は…」
 武人の手が僕の股間を愛撫する。僕の息は徐々に上がってくる。
「お前は…俺の性欲処理の便所なんだから・・・」

「…あっ…あっ…ふっ…あぁっ…」
 誰もいない教室の中で僕の喘ぎ声と後孔から響く卑猥
な音だけが聞こえてる。
 武人の上に跨らせられ、貫かれている僕の身体は快
感にビクビクと跳ねているけれど心は寒かった。
「あぁっ…あっ…あっ…あぁ…ん…」
 武人のさっきの言葉が僕を深く傷つけていた。だけど
心を裏切る淫らな身体・・・。武人が突上げるたびに腰を
擦りつけてキツク締めてしまう。
「すっげぇ…締付け…」
「あぁ…ん…あっ…あぁっ…」
 心は冷えているのに、身体は熱くなる一方だった。
「お前の母親もこうやって乱れて、親父を垂らし込んだ
 んだろうな。」
「あっ…ん…ちが…うっ・・・ふぁ…」
 遠慮なく串刺しにされている僕は言いたいことの半分
も言えなくて翻弄されるばかりだ。快感も過ぎると苦痛
だということを武人によって知らされてしまった。
「もっ・・・やだぁっ・・・あぁっ・・・」
「もっと泣き喚けよ。もっと乱れろよ。翔…!」
 耐え切れないほどの抽挿に僕の身体は弾ける寸前に
追込まれていく。武人も最後の時は近いようだ。
「だめっ…も…いっちゃ…うよ…武…人ぉ…!」
「くぉっ!!!」
 僕と武人は同時にはじけた。忙しない息遣いが教室に立ち込める。
 息が整うと武人はさっさとボクの内壁から引き抜き手早く自分だけ始末を始めた。
僕はまだ息が上がっていて身体も疲れ果てていた。始末する気力もでない。ぐった
りとしている僕に一瞥をくれると武人は自分のタオルをほって寄越して教室を出て
いった。
 初めてみせた優しさだった。僕はなんとかタオルで始末をするとのろのろと服を
身につけた。窓の外からは真っ赤な夕焼けが教室を照らしていた。


『性欲処理の便所…』
 武人にとっての僕はそんな存在…。そう知らされた時の胸の痛み…。はっきり自覚してしまった。
 僕は身体だけじゃなく心まで武人に飼い馴らされてしまったことを…。
 半分でも血が繋がっている傍若無人な異母兄を好きになるなんて…。
 血が繋がっていることももちろんだけど僕は武人の母親を散々苦しめた女の子供だ。
 きっとこの想いは報われない。だって武人は僕を憎んでいる。
 
 僕はこんな想いを抱えてずっと武人の『性欲処理の便所』として過ごして行かなければいけない。
 苦しくて苦しくて、いつか僕はこの想いをぶちまける時がくるんでしょうか…。


                                            了