…

誰がこんな事の為に産まれて来たいと思う？
誰がそんな事の為に誕生を祝いたい？
みんな幸せになりたいさ。
けど、幸せになれない人間も沢山いる。
ある人は誰かに助けられ、ある人は誰かと廻り合い、ある人は元々の運が良く、ある人は強みを持っている。
世の中を生きて行くのに、何かしらの矛なり盾なりを持っていればまだましだ。
けど、武器も防具もない処か、着るものも、それを纏う肉体すらも持ち合わせない者だって居る。
戦う事を放棄した者は弱者であり、戦いから逃げたものは卑怯者と詰られる。
でも、戦い方も知らぬ者はどうすればいいんだ？
守る事も知らずに逃げてはそんなにいけない事なのか？
我等から見た強者には、弱者のそんな惨めさや辛さ、痛みはきっと届かない。
ただ後ろ指を指されながら、弱い、根性が無い、逃げている、言い訳をしている、自分が悪いと詰られ、その痛みにすら耐えている。そう、弱者だよ、戦い方も守り方も知らない弱虫だよ。
それじゃ駄目か？皆が強くなければ駄目か？
だからこうして僕等は、大きな主張をする訳でもなく、じっと屈辱や悲しみや痛みに耐えてるんだ。そんな僕等に残された、最後の戦い、本当の意味での自分との戦いからは逃げられない。
生きるのか、死ぬのか、どちらの自分が勝つのか？
ただ、やっぱりこんな惨めになりたくて誰しも生きてはこなかったはず。
そう、僕等は生まれながらのミミズじゃないんだ。
[職業]
パピヨン