冷灰の旦那様

久しぶり。
あんたは健勝でおられるんだろうか。
ん、なんか言葉おかしいか?こっちはろくに学も無えんだ、そこは許してくれ。
や、俺はその傍を今もふよふよしてんだろーから、元気か訊くのも変な話だけどよ。まあ、うん。

なあ、知ってるか。
俺があんたと出会ったあの場所が、近々無くなっちまうんだと。俺な、一期一会、いつかまた偶然出会えればラッキー、って思ってた。
だけど、もうじきそれも物理的に叶わなくなるんだと思ったら……探さずにいらんなくなっちまって。

会いたい。
んで、あんたの傍に居てえ。
声が聞きてえ。笑顔が、寝顔が、夜明けの間抜けな髭面が見てえ。
出会った場所が場所だ、あんたにとっちゃ、俺が未だにこんな事思ってるなんて、寝耳に水かも知んねーな。はは。
まあこんな馬鹿もいるって事で一つ。


・2016年の1月、1週間ほどの短期交流
・列車の旅
・俺は狼
・そもそも俺はあんたとは別の人間の使用人
・夜中のタイトル祭り
・ニャムライス
・酌み交わした酒

まあ、こんな所か。
そも、あんたがなりきり遊びをするお人なのか、
あのゲームのためになりきりをしただけだったのか…
そういうの含めて俺はわかんねえ。
俺としちゃ、ゲーム抜きであんたと会えたら…なんて思ってるけどな。

どうだろう、一縷の望みにかけて。
2 使用人
すげえなぁ…もうこんなに時間が経ったか。
会えたとして何してえとか、そこまでは分かんね。
…会えるかも分かんねえからな。
ただ…時折ふっと思い出しちゃあ、こう…胸の、奥んとこ?が、ギュッと…言い過ぎか、キュゥっとくらいにしとく。キュゥっとよ。微かに疼いて切ねくなんの。

一期一会の短期交流…それがあの場所のルール。
だけど、あぁ…あんたに会いてえなぁ。
よう。年が明けた。
なぁそっち寒くねえ?ガウン掛けてある場所、あんたちゃんと知ってんのかな…。

もう3年も経っちまったのな。
まだ忘れられない俺はただの馬鹿だな。

会いてえよ、…ヴィンツェント様。