§ 鎖唄 §

過去ログ625 2011/9/22 3:43

投稿者:にゃむこ
うそつき
 
水と植物を1つの容器に入れてつかみどころのない
うそを聞いた
 
わたしたちはそれを暴こうとして布をひっぱって除けたのだがそこには何もなかった
 
わたしたちは以前 熱帯魚の鱗を丁寧に一枚一枚はがしたことがある
魚は嘘をつかないとウワサで聞いていたから
そしてウワサのとおり
どんなにいじめてやったところで魚たちのお腹がパンパンであることはとても確かなことだった
ピンポン玉みたいに落っこちている魚たちと、なまぐささと
指やすねにくっついた沢山のうろこと、わたしたちの後ろ暗い気持ちのために
わたしたちはまた嘘をつかなければならないのだった
 
わたしたちはしょんぼり嘘をついた
わたしたちは血眼でうそをついた
  
魚はパンパンだった
わたしたちは空っぽだけれど。
たくさんしゃべったのはわたしたちだ
魚はしゃべらなかったのだけれど。
 
水と酸素で肥大化した植物が
割ってはいけないビンを破り出るとき
わたしたちもまた、肥大化するのだろう
わたしたちがうそつきだから
 
[次のお題は?]
うろこ
9/22 3:43

投稿者:林檎
(渚にて)
あなたが好きだと言った景色を
どうして切り取っておかなかったのだろう
忘れてしまうのがひどく怖いというのに

銀河鉄道の夜
列車に乗り損ねたわたしは
降るような星に目もくれず
夜ごと歩くの

あなたのかけらを探して

たとえば、波打際
脚を浸して ひたすらに
綺麗なところだけ掬おうとしていた

朝に染まろうとも
夕闇降りようとも
決して曇らぬものが在るはずと

今此処へ来て思えば、勘違い
理想だけ飲み込んでしまいたくて
ただただ急いでいた

明け方の夢なんて

手に入れることが出来ぬものだと
あなたも
ゆめゆめお忘れなきよう
[次のお題は?]
Liar(うそつき)
9/21 23:38

投稿者:龍斗◆9aXw
彼岸


草イキレの中キミは
白くまぶしく輝いていた

時はまるで止まってしまったかのように
キミの呟く言の葉一つ一つに
幸せな大地の鼓動を感じた

熱に浮かされたキミは
毎晩毎晩同じ夢をみて
またあの人の名前を呼ぶ

夜と朝のサカイメを何度も何度も行き来しても
キミはまだあの人の記憶を拭い去れない

朝日と夕日の寂しさの違いに
キミはなぜ気がつかないの?

海から風といっしょにやってくる
まぶしい世界に
キミも僕もいつでも足を浸している

「なぎさだね」
キミはそう呟いた

野分けはあしぶみしたまま
夏の終わりを嫌がっている


[次のお題は?]
なぎさ
9/20 4:10

投稿者:漏斗◆tnPA
対岸に隅田川の花火


雨上がりの重くのしかかる水を多大に含んだ空気が私の呼吸をさまたげている
焼けた都会のコンクリートにこれしきの打ち水ではかえって不快感が増してしまうではないか
稲妻も光らない夜の静かな通り雨
火薬が湿っけてしまう

対岸の花火が雑草の芽くらいの大きさで打ち上がっている

音さえ聞こえない
夏の終わりの
数えきれないほどの
失敗してしまった告白のように

東京湾をはさんだ対岸に
隅田川の
夏の終わりの


[次のお題は?]
彼岸
8/29 3:25

投稿者:とうご
ひとり
朝に陰る

木漏れ日は誰かのもの

君の笑顔の下の

悲しみに気づくこともできず


ごめんよ


君にたくさんの愛が降り注ぐように
[次のお題は?]
花火
8/5 23:13

投稿者:猴面何者
ともだち
聞いてくれてありがとうって言われるたび

思い知らされる

おれじゃない

きみの表情を四季より彩らせられるのは


けど


だけど

おれがきみに必要とされる最後の術は

これしかないから

おれへのじゃなくていいんだ

きみの笑顔が見れるなら


心の軋む音が聞こえても

それを覆い隠すように

おれの声が枯れるまで

きみの恋が叶うまで


頑張れ

届け


届け
[次のお題は?]
ひとり
8/4 3:06

626624

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