1 オルオ・ボザド

ペトラへ宛てる

お前がこれに気づくか解らんが、俺の大事で大事でしょうがない幼馴染に宛てる。

一月前、俺がお前の張り紙に反応したのが始まりだったな。
お前が幼馴染で、俺は片思いで、ずっとずっとからかってからかわれて、そんな日々が続くかとも思っていた。
俺がぽろっと、お前が好きだって言っちまって、俺たちの関係性がぶっこわれるんじゃねぇかと不安になったときもあった。
お前が勇気を出して、俺のことが好きだって言ってくれたとき、泣いちまったな。
前世からの片思いだ。許せよ。仕方ねぇだろう。嬉しかった。凄く。

心臓がどうにかなりそうだ。

ペトラよ。なぁ。愛してる。

まだ言葉にしてねぇけどな。好きで治まる気持ちじゃねぇんだ。

これからも二人で暮らそうぜ。
美味い飯は任せてくれていいからよ。
………今度デートしたい。凄く。お前に似合いそうな服でも…いや花見でもいいな。すっかり桜も近い季節になってきやがったし。

ああ、なんつぅか取りとめねぇけどさ。

俺はお前にほれてる。本当に惚れてる。

だから、これからも「おかえり」って言ってくれ。
これからも「ただいま」って言ってくれ。

「好き」っていわれてぇが、それはお前の気が向いた時でいい。照れすぎて死にそうになるからよ。


…、ん。
「大好きだぞ。バーカ」

俺の大事なペトラへ。一ヶ月記念フライングだ。
2 ペトラ・ラル
……気付くか分からない、ね。見ろ!とばかりに自分からバラしてたのは何処の誰だっけ?

丁度一ヶ月前、私の元に飛び込んできた鳩達。その中からあんたの鳩を抱き寄せて、そこから私達の共同生活は始まったんだよね。

あんたの前世の記憶を無理矢理引っ張り出して泣かせちゃったあの日は忘れられないな。辛い思い、悲しい思いをさせてごめんね。あの時だよね、私の事を好きだって初めて言ってくれたの。……驚きと、人に好かれる嬉しさと、少しの戸惑い。それから暫くは色んな気持ちで頭が一杯になっちゃったりして。

それからは本当に早かったわ。日に日にあんたの事ばかり考えるようになって、胸が苦しくなって、気持ちが抑えられなくなって。…悔しいけど、オルオの事が好きなんだって実感させられた感じ。

まだまだ言いたい事はあるんだよ?でも残念な事に私は口下手、上手に言葉に出来ないからこれから少しずつ伝えていくことにするわ。首を長ーくして待ってなさい!

プロが作るような美味しいご飯を作ってくれたり、私が喜ぶ事を何気無くしてくれたり。頭を優しく撫でてくれたり…私はそんなオルオが好き、大好き。

…ねぇ、オルオが居る場所が私の居場所なの。温かくて、心地良くて、ちょっぴり懐かしい私の大切な場所。

二人して恥ずかしがりだけど、手探りで探すこれから先の道も一緒に歩いていけたら良いな…ううん、一緒に歩いていこうね。


私の大切なオルオ・ボザドへ。あんたに出逢えて本当に良かった。これからも一番近くであんたを見ていられますように。


P.S.デートはお花見に一票。大きなお弁当箱に一緒に作ったおかずを詰めて出掛けるの。…本当はオルオと一緒なら何処でも良いんだけど。逃げないように手はしっかり繋いでいて…なーんてね。
3 オルオ・ボザド
……気付くか分からないに関して言い訳をするとだな、最初はお前が見つけてくれたら…って思ってたんだがほら。見つけてくれなかったら悲しいからこう、つい、な。

まぁそんなことはどうでもいい。
二ヶ月、おめっとさん。
お前がこれを読んでくれる頃、俺がお前に捧げたブツがお前の涙腺をぶっ壊してればいいな、と思ってます。

…この一月、色々有ったよな。
初めてお前とデートをして、初めて恋人繋ぎして、心臓爆発しそうになりながら一緒に雑貨屋で時計買ってさ。
俺のご褒美スタバ飲んでもらったり、お前がバイト先に下手ックソな変装で現れたり、一緒に料理したり、…花見はまだしてる最中だが。
あと日記も始めちまったな。本当、俺は毎日ドキドキしながら見に行くんだぜ。
お前の文字を見るだけで、滅茶苦茶元気になれるんだ。
どんなに朝がきつくても、お前からのメール一つで脳味噌薔薇色になれる。―――安い脳味噌だろ、恋の馬鹿だからな。なんて。

お前にやったあれの意味なんだけどさ。
羅針盤って、迷っちまったときに方向を見るためのものだろ?大航海時代のコ/ロン/ブスだって、太平洋で迷ったときに使ってたって聞くし。
―――だからその…もしも俺が馬鹿みたいに道に迷っちまった時は、その羅針盤で、お前の腕で、俺を導いて欲しい。
お前が道に迷っちまたら、お前の手首の羅針盤を覗き込みながら、俺が腕を引いてやるからよ。
ぎゅってさ。いつもみてぇに手を繋いで、お前の手首でずっと時を刻む時計みたいに、どんなに迷ったときも二人で居ようぜ。
やたら凸凹な俺とお前だったら、どんなに迷おうが、どんなに駄目っぽくなろうが…足りないところを補って、絶対に【俺たちの目指す道】が解る、そんな気がするから。
喧嘩したって良い。絶対笑わせてみせるしその自信も俺にはある。
で、これからも俺はお前の傍から離れてやんねぇから、覚悟しとけよ。ペトラ。

二ヶ月。60日か。本当にありがとう。お前にはマジで感謝しかうかばねぇな。
家ではだらしねぇし、片付け下手っくそだし、純情すぎてお前をイラつかせることもきっとあるだろう俺だけど、これからもずっとお前と時を刻んでいきてぇって思ってる。
また来月もこうやって、お前に愛を囁かせてくれよな。

愛してる。
誰よりお前を想ってる。
…前世も含め、最初で最後の大切な最愛の恋人へ。


オルオ・ボザド
4 ペトラ・ラル
──…二ヶ月。まだ、もう、やっと。色んな想いが交差するけれど、無事にまた此処にあんたへの気持ちを残せる事が嬉しくて堪らないの。…一日遅れちゃったけど、手紙は零時ぴったりに送ったんだから多目に見てよね、ばか。

先月初めての記念日を迎えてから、ますます私の中のあんたの存在は大きくなったの。相変わらず気恥ずかしさと意地っ張りな性格が邪魔をするけど、一ヶ月前よりも自分からあんたに歩み寄る事が出来るようになった…と、思ってるんだけど。これも毎日のようにあんたが私にくれる両手じゃ収まらないくらいの愛のおかげ。

夕暮れの帰り道だって、行き慣れたスーパーだって、あんたと一緒なら私にとっては全部がデートなの。手を繋いで歩いてるだけで胸がドキドキしたりワクワクしたり、…とにかく落ち着かないんだからね!

昨日記念日を迎えたあの時間、私の宝物が増えたの。その宝物はこれからあんたが居ない時も代わりに私と一緒に長くてずっと続く時間を過ごしていくんだね。肌にぴったり触れる部分に刻まれた言葉が私の胸の中にすうっと溶けていくの。こんなにも愛されてるんだって実感と、私もあんたに負けないくらいの愛を注いでいこうって想いが溢れて止まらないや。

迷ったり悩んだりしたっていつも隣にいてくれるんでしょう?それならどんな道だとしても私にはキラキラ輝く綺麗な道に見えるはず。先なんて見えないくらい長い長いその道程を、手を繋いでゆっくり歩いていこうよ。私が躓いたら笑ってね、転んだらちゃんと起き上がらせてね。─…あんたがいないと私は独りじゃ歩けないんだから。

毎日美味しいご飯をありがとう。つられて笑っちゃうような素敵な笑顔をありがとう。嫌な事なんて全て包み込んでくれるような温もりをありがとう。在り来たりだった私の日常を変えてくれてありがとう。…沢山の愛をありがとう。

ねぇ、ずっと前に幸せの青い鳥の話をしたのを覚えてる?…幸せはすぐ傍にあるって話。オルオは私の青い鳥、翼の形は今は違えどちゃんとあんたの背中に残ってるのよ。

来月またこの日を迎えるまでに色んなオルオを知ることが出来ますように。


世界で一番素敵な恋人へ
世界で一番幸せな私より。
5 オルオ・ボザド
三ヶ月。
色々あったけどたどり着けたこの日に、俺は本当に嬉しいって思うんだ。
お前と過ごして、お前を愛して、お前を好きになって......たくさんの知らなかった気持ちを知って、知らなかった通じ合う喜びに震えて...俺は本当に幸せでどうにかなっちまってるんじゃねぇか。そう思う。
お前もこの一月でまた可愛くなりやがったな。
お前が俺に「愛してる」っていってくれるたびに俺の心臓はぎゅって縮んで、その後すごく強く鼓動を刻み始める。
「嬉しい」「愛しい」「愛してる」って体全部がお前の事を大好きだって叫んでんだ。

お前の腕に俺からのささやかなプレゼントが光ってるのを見るたびに、俺の心臓はまた楽しそうなリズムを刻んでる。
そのネイビーブルーの革バンドの色が変わって行ってもっと良い色になっていくのが楽しみで仕方ねぇ。

ここ数日俺のバイトやら学業やらが恐ろしいほどに忙しくて、一緒に住んでるのに同じ時間を過ごせなかった。
そうしたらよ、おまえの事を一緒に居るときよりもずっと考えるようになった。不思議だよな?
お前の笑顔、泣き顔、ふくれっつら。どんな表情も俺の心の中できらきらかがやいて、たまらなく愛おしいってもっともっと思うようになったんだ。
お前に渡した白薔薇、お返しの様に俺にくれた革のブレスレット。
あれに刻まれた言葉や、そのときのお前の表情を見て案の定大号泣しちまったな。

愛しくて嬉しくて仕方ない。
喉が裂けるくらいお前に伝えたい。
愛してる。愛してる。―――何度生まれ変わったって愛してるんだからな!!


来月の記念日にも、また二人で笑ったり泣いたりできますように。

俺の最愛のお姫様へ。

王子様になりたい俺より。
6 ペトラ・ラル
久々にこの場所に来たのは、少し疲れちゃったから。私の心が一番穏やかで幸せで、愛に満ち溢れていたあの時は今でも思い出の中で確かに輝いていて温かくて。その中心に居るのは、やっぱり今でもあんたなのよ。こんな所にこっそり言葉を残す私は根っからのズルで、馬鹿で、意地っ張りで。一度繋ぎ直せた縁を解いたのはまたあんたに向き合うのが怖かったから。時が過ぎても真っ直ぐで眩しいあんたの隣に私みたいな薄っぺらな人間が居て良い筈なんてないじゃない?…結果、傷付ける事になってしまったのかもしれないけれど。あんたには、あんただけには幸せを掴み取って欲しいって思うの。


あの頃、私の全てだったオルオへ。元気にしてる?相変わらず優しくて面白くて…そして陽だまりみたいに温かいのかな。体調はどうかしら、実はそれが何よりの気掛かりなの。本当であれば、ずっと傍に居てあんたを支えてあげたかった。大丈夫よ、って頭を撫でてあげたかった。…私には勿体無いくらいのちょっぴりヘタレだった王子様、あんたをこれからも偶には思い出す事くらいは許してね。…今でも変わらず愛してるよ。だから、さようなら。