1 ユミル

「結構好き。」

願い事は延滞料金をおまけして四つまで。遅ればせながら誰よりも大切な愛しい人が生を受けた日に、感謝と祝福を。なーんてたまには格好付けてみるか。この場所でこうして出逢って何だかんだあって、今があって。後悔なんてする暇もないくらいにお前の事が好きだったよ。ずっと。出逢えて良かったなんて甘ったるい言葉も、一年に一回くらいは素直に受け取ってくれんだろ?生まれてきてくれて、出逢ってくれて、私の傍に居てくれて、ありがとな。

あー…少し遅れた事については勘弁。二日分の好きが加算された"おめでとう"だ、ってポジティブに考えればほら、何となく幸せだろうし。五ヶ月と二日分の想いを込めて、誕生日おめでとう。愛してんぞ、誰よりも。お前しか居ないから、お前じゃないと嫌だから。この先一緒に過ごす時間を少し夢見るくらい、バチは当たんねえと思うんだ。

改めて訊いときたいんだよ、一つだけ。…後悔してるか?私だけが幸せでも何の意味もなくってさ。対等がいい、お前が欲しい、お前に幸せでいてほしい。だからあれだわ、お前にはしばらく大人しくしててほしい。許してくれんなら、私がお前を幸せにするから。絶対、意地でもこの先後悔なんてさせねえからさ。大人しく幸せになってくんねえか?なあ、アニ。


今度は私が手を出すから、握ってくれると嬉しいよ。タイミングがまだ掴めねえからその辺はご指導よろしくお願いします、と。
2 削除済
3 アニ・レオンハート
…延滞金は年9.2パーセント。
このまま気付かないフリして願い事を先延ばしにしたら、少しずつ増えていってくれたりはしない?…なんて、わがまま言って好きな奴に嫌われたくはないから、素直にお願いさせてもらうとするよ。叶えてくれるだろ?二日分の遅延に対する罪滅ぼしと、私への愛を込めて、さ。

一つ目。「可愛い」って言葉が「愛してる」と同義だってことを汲んだ上で、文句を言わずに受け取ってほしい。残念なことにあんたの好きだって奴は、「かっこいい」だなんて素直に顔を赤らめて言えるほど可愛い女じゃないから。
二つ目、それ以上魅力的な人にならないこと。初めて言葉を交わした日から五ヶ月と二日経った今日この日まで、好きって気持ちは絶えず更新されてんだから笑っちまうだろ。…初めてだったんだよ。誰にも渡したくないだなんて馬鹿みたいに執着するのは。だから、どうか、それ以上魅力的にならないで。
…そうは言っても人は変わっていくものだから。…三つ目、あんたのこれからを隣で見届けさせてほしい。狡賢くて揚げ足取りで、本当は誰より優しくて純粋で。強くて…美しくて。そんなあんたがこれからどんな風に変わっていくのかを傍で見届けたいし、貴女が貴女の夢を叶えたとき、どんな顔して笑うのかも。…なんて壮大すぎる?

あぁ、そうだ、質問の答えをここで。後悔することがあるとすれば、もっと早くあんたを見つけたかった。それだけ。出逢えて良かったと心から思ってるよ。…ありがとう。傍にいてくれて。こんな所にさり気なく、お祝いの言葉を残してくれて。

ねえ、一年に一度くらいは、らしくない台詞も許してもらえるかい?…私の「好き」も「愛してる」も、全部ユミルの為だけにあるんだよ。…勿論、「結構好き。」もね?言ってしまえば私という存在そのものが、あなたの為だけにあるから。これだけは忘れないでいて。好きだよ、ユミル。愛してる。誰よりも一番に。貴女だけを。


あぁ、こんなに長くなるはずじゃなかったんだけど。…最後にオマケの四つ目の願いを。
差し出された手を私が掴んだら、もう二度と放さないでいて。…幸せにしてください。
4 アニ・レオンハート
直接鳩を遣ろうかとも思ったけど、思い出深いこの場所に書き付けておくのもいいかなと思って、メッセージを残すことにしたよ。
すぐに気付いたのなら少しは期待して探しに来たってことで案外可愛い奴って笑ってやるし、いつまでも気付かなかったら悪質な悪戯鳩を送りつけてあげるから覚悟しなよ。悪趣味なのは相変わらずさ。お互い様ってことでご了承を。

…と、前置きが長くなっちまった。
誕生日おめでとう、ユミル。心からの愛と感謝を込めて。出会ってから一年以上が経った今もこうしてあんたの傍に居られることが、奇跡なんて言うにはあまりに陳腐だけど、そんな言葉を借りてみたくなるくらいには有難い事だと思ってるよ。貴女のひたむきさや不意にくれる言葉にどれだけ勇気付けられたことか。傍に居られることをどれほど幸せに思ってるか。…知ってる?私だけだとしたら少し寂しい。何分の一かでも似たような感情を共有できていたのなら、とても嬉しく思うよ。

さて、一年越しの壮大な夢はついに叶いそうだね。次会ったら満面の笑みを頂戴。勿論私だけに。

今年も貴女にとって素晴らしい年になりますことを。あわよくばもう暫くの間、貴女の傍に居られますように。愛してるよ。今までも、これからも。
5 ユミル
あー…、懐かしいな。これ。約一年前の自分とか、本当懐かしいし恥ずかしい。けどまあこうして並べてみると変わったんだか変わってないんだか分かんないもんだよな。そちらさんは相変わらず魅力的な口説き文句が引き出しの奥底まで詰まってるみたいだし、在庫切れの心配も全くなさそうで。毎度毎度惚れ直すよ。
…お祝いの言葉、ありがとな。気付いちまった私が仮に案外可愛いんだとしたら、0時ぴったりになるように準備したお前は案外すごく可愛いと思うぜ。

前は自分の誕生日なんざ意識した事もなかったし、何でもないただの平日だったけどさ。そんな一日がほんの少し心浮き立つ一日になったり、もう少しあと少しって一緒に居た一年間が多分この先ずっと忘れられない一年間になったり。こんな奇跡、お前が相手じゃなきゃ起こせやしなかった。
溢れそうな感謝と幸せはキスにでも込めて後日お届けするとして。受け取ってくれると嬉しいよ、つまらない物ですが。

そうそう、私の叶えたい事に関しては未達成な部分の方が全然大きいから、今はまだにやけるくらいにしとくわ。何年後か全部が終わった時にも今みたいに傍で手を取っていられたら、その時は一緒に笑ってやってほしい。もう暫くの間なんてつれない事言わないでさ。叶う事ならもっとずっと、最後まで。隣に居てくれよ。
一年と四ヶ月が経った今でも、やっぱり私はお前じゃないと駄目みたいだから。何十回と告げた言葉をここに、ありったけの想いを込めて。

愛してんぞ、アニ。今日も明日も、きっと一年後も。お前だけが愛しくて堪らない。
6 ユミル
アニに関して、この一年で変わったなって思う所。(※個人の勝手な解釈、そうであればいいという妄想を大いに含む。)
一、ほんの少しだけ、甘えてくれるようになった。…何つーか昔は 恋人に三回くらいキスをねだられて仕方なく一回してやる、みたいなタイプかと思っててさ。だから抱き締めた時に自然と背中に回される腕がくすぐったくて、慣れなくて、幸せだなって思うんだよ。
二、いくらか気の抜けた姿も見せてくれるようになった。出来ない事なんて無いんじゃないかっていう、凛とした立ち姿をずっと見てきて。そんなお前の眠い時の無防備さとか、話してる時に不意に洩れる笑顔とか、ちょっぴり拗ねてる所とか。近付いた距離の分見えてくる表情があまりにも可愛くって、独り占めしたくなる。
三、愛してるって言葉にする時の恥じらいや躊躇いがなくなった。このテクニックに関しては本当、どこでいつの間に覚えたのか小一時間問い質したい。五人の恋人のうちの誰かに囁いたってんなら…流石に少し、もやっとはする。そりゃあお前を好きになる奴なんざ両手足の指じゃ足りないくらい居るだろうけどさ、きっと私が一番だと思うんだよ。私が一番、お前の事好きだから。

一年ってのは人生の何十分の一だよってくらいの長さしかないくせに、取り出してみるとずっしり重みがあるもんだよな。最初のやつを貼り出した時から一年…(と数日)が経ったって事で。…プレゼントは奮発しようと思うよ。何か欲しい物思い付いたら教えろよ、遠慮しないで一年に一度しかない特別な日に相応しいヤツ。
そんな訳で、今年も祝わせてくれてありがとな。大分遅れちまった事については心から反省してるから、全力で目を瞑ってもらうとして。…誕生日おめでとう。アニ。

振り返ってみると去年は可愛らしいお願いを四つ並べてくれた訳ですが。…叶ってんのかな、どうだった?一年間。
抱えたものをちゃんと大切に出来てるか、貰ったのと同じものを返せてるか、たまに不安になるんだけどさ。二人で見る夕焼けがいつもより綺麗な事も、満天の星空を見上げた時の胸が一杯になる感覚も、このまま全部が止まればいいのにってくらいに大好きな今も、思い出すと幸せだって笑っちまうような昨日も、手を繋いだままでいられる事を願いたくなる明日も、私にとってはお前と出逢うまで知らなかったモノで。幸せなんだよ、すごく。出逢えてよかったって思ってる。出逢えてよかったって言ってもらえるように、格好よく在りたいと思ってる。
だからさ、放さなかった手がお前にとっても間違いじゃないなら、まだ繋いでいてほしい。幸せにするから。幸せすぎて泣いちまうくらいに、…なんて。

足を止めずに進み続けるお前の事だから、歳を重ねる毎に魅力も増してくだろう事を考えると若干恐怖でもあるが、やっぱり楽しみだよ。来年またこの場所で一年間を振り返れたら嬉しい。素敵な一年になる事を祈ってる。
いつも言ってる通り、出逢った頃からずっと好きだし出逢った頃よりもっと好きだから。…もしかしたら「友達以上恋人未満」も少しはみ出しちまったかもしれねえわ。
7 アニ・レオンハート
出来ないことだらけの私があんたの前では余裕ぶって格好付けてたのに、いつの間にか化けの皮が剥がれちまって少し焦ってるところ。時間ってのは唯一すべての人間に等しく与えられてるもんで、私と同じようにその波に晒されてるにもかかわらずなかなか隙を見せてくれないあんたは、本当に大した奴だと思うよ。

メッセージをありがとう。ユミル。あんたからの言葉一つでこんなにも躍る胸に、否応なしに痛感させられる。あぁ、やっぱり、好きなんだって。言葉巧みでさ、相変わらず狡い奴ってため息が出ちまうよ。
どうしてだろうね、時を重ねる毎に抑えきれない気持ちが大きくなって、時々聞き分けのいい大人でいられなくなっちまうんだよ。抱えた感情をどうにかして手渡したいと思うのに、言葉が足りなくてもどかしく感じることが増えた。以前はそうじゃなかったのにさ、可笑しいね。

それから、去年の4つの願い事については概ね合格点。概ねの理由は…言わなくても分かるだろ?それ以上可愛くなるなってあれほど言ったのに。
正解不正解なんてそれこそ言うまでもなく。これから先、繋いだ手が解けないか心配になって、強く握り締めて貴女を傷付けてしまうかもしれないし、そんな猜疑心に疲れて手を放してしまいそうになることもあるかもしれない。でも、貴女を愛する気持ちだけは、いつの日も変わらないから。それだけは忘れないでいて。一番に大切なものが何か、今はもう知ってしまったから。

1年後、どんな気持ちでここの言葉たちを読み返してるのか、今から楽しみにしてるよ。桜舞うこの季節も、きらきらした海も花火も、木枯らしに舞う紅葉も、見渡す限りの白銀も。貴女といればきっと、もっと鮮やかに彩られるはずだから。
愛してるよ。ユミル。いつの間にか、全部が愛おしくなって、欲しくなった。そして、心からの愛と感謝を貴女に贈りたいと思う。傍にいてくれて本当にありがとう。これからもどうか、貴女と共にいられますように。


追伸。プレゼントについての答えはあんたの居室で話そうか。もうとっくに、はみ出しちまってるんだから。