1 エルヴィン・スミス

親愛なる私の右腕に宛てる

君と出逢ってからついに半年を迎える事が出来た。
冬の寒さも本格的な物を迎え始めた頃、余り需要の無さそうな場所にひっそりと看板を立てた。目にしてくれる可能性の低い場所に要望の少ないであろう内容だった事もあり、思ったとおり待てど暮らせど一つの便りも無かった。周りの看板が一通り入れ替わった頃、私の元へと一通の文を携えた鳩が舞い降りたのは看板を立ててから実に一ヶ月を迎える頃だった。
それが、半年も前。
移ろい行く世界でただ一つ大事なものが出来てから暫くは己の身を守る事に必死だったように思う。
確かなものなど何も無い世界で其れこそ何時連絡が止まってしまうのか何時別れ話を切り出されるのか。正直な所最初はそんな心配ばかりしていた。
大事にしたい、しかし重い存在にはなりたくない。
正直に話をしていく内に君の懐の広さを知って、どんどんと惚れ込んでいく事になる。
素直に甘える事が苦手かもしれない、何て話しもしたな。
そこから、半年。
月日が経つのは早いのか短いのか。
どれだけの幸せを貰っているのだろう。
毎日言葉を交わして愛を確かめ合い、疲れたら凭れ掛かり、抱き締められれば抱きしめ返し、欲を覚えれば求め求められ、こんなに満たされた日々を過ごせる幸せは他には絶対に無い。
君のお陰でどれだけ日々が色鮮やかになった事か。
出逢ってくれた事、当時の君にどれだけ感謝をしていいか分からない。
好きだ、――…愛してる。
何度伝えても足りない位に、君に惚れ込んでいる。


愛する私の唯一、ミケ・ザカリアス
お前は偶に俺に対する不安を打ち明けてくれる。
ただ、俺はお前の前ではただのお前に恋をしている一人のただのエルヴィン・スミスに過ぎない。お前を盲目的に愛しているただの男だ。
買い被られる存在ではない。
ただ、こんな俺でもお前の傍に居れる事を何よりも幸せに思っている。
どうか、何時までも隣で歩ませてくれ。

大した言葉も残せずにすまない。
お前の事を世界で一番愛している男、エルヴィン・スミスより…愛を込めて