1 リヴァイ

白い花

夏が来る頃、白い花が好きだと言っていたお前に贈ろうと思っていた花がある。
お前に差し出し、感謝と愛情込めた言葉と共に手渡そうと決めていた花だ。

真っ白いクチナシの花。
大して日持ちはしねぇが、香りが良い…お前の好きそうな甘い匂いだ。
生けるのがクソみてぇに下手なお前の事だからな、どうせ俺の執務室に飾る事になっただろう。甘い匂いに包まれた部屋の中で、何時ものように如何してこの花にしたのかと問うお前にこの花の持つ意味を告げるつもりで居た。

『私は幸せです』

出逢った頃も、今も、きっとこの先も。
お前に貰った両腕に抱え切れない程の愛情は、俺を暖かな幸福で包んでくれるだろう。
ありがとう、愛してる。
ずっとずっと、俺の最愛はお前だ、俺の可愛いエレン。


いつかの日が来たのなら、手元に残された此の腕と心臓を…何もかも全てを、白い花と共にお前にくれてやる。その時は拒否権なんざねぇぞ、クソガキ。
2 リヴァイ
此処に気付く事はねぇと思うが…8日の今日、淡紅色のスターチスを愛しいお前に。
意味は…珍しい花でもねぇしな、自分で調べろ。

クソつまらん色褪せた日々だが、お前を想う瞬間だけ酷く鮮やかに見える。
人を愛するってのはこんなに切なくも幸福な事なんだな…なぁ、エレンよ。
3 リヴァイ
お前へと言葉を綴るのは、此れを最期に。
此処に綴る言葉をお前が目にする事はもう無いだろう…気付くかも知れんが、俺と言う存在がお前にとって目にしちゃいけねぇ存在になっちまった事は理解している。

新しく優しい愛情を得たお前が、末永く幸福で居られるよう。
今はただ、其れを祈っている。
何時か俺も、お前を愛しく想ったあの鮮やかな日々にもう一度触れられるよう…もう逃げる事無く沈む事無く穏やかな儘で世界に触れられるよう、祈っていてくれ。

愛してた。
心からの感謝を此処に置いていく。