1 ジャン・キルシュタイン

俺だけの鳥へ

俺という鳥籠に囚われる鳥へ。

なぁ、苦しいか?外の自由を眺めながら狭い世界で飛び回るのは。…なんて、な。鳥籠を開けて解放してやるのに、わざわざ戻ってきて俺からの愛情を求める鳥が愛しくて仕方ない。
そんな俺もお前の前では魚でしかない。鳥と違って水槽がないと生きていけないんだ。満たされた水という愛情がねぇと、…なぁ。分かるだろ。お前にはもう俺を解放してやる事なんて出来ないんだ。

…例え話は辞めるか。
ずっと俺の腕の中で、お前の腕の中にいたいと…そう思ってる。こんなに焦がれるのは何でなんだろうな。心を擽る言葉、触れ合う指先、どれも愛おしくて足りなくなる。…なぁ、もっとくれよ。溶け合って、ひとつになるなんて俺はごめんだ。物足りなくても良い、欲しがりたい。お前という愛しい別の存在を味わい尽くしたいんだ。
此処最近はお前の過去を聞き出しては満足してる。お前の幸せだったこと、悲しかったこと、気持ちよかったことさえも、俺で塗り替えて俺だけで満たしたいんだ。

お前は言ってくれたよな、俺を最後の奴にしたいって。あぁ、こんなにも愛しい奴は今までに出会ったか?お前だけだ。一度離した手はもう離すなよ。…ずっと。

3ヶ月以上の目標は決めてなかったな、次はどうする?…半年おめでとう。愛してる、ベルトルト。
2 ジャン・キルシュタイン
7ヶ月。
半年だって歓喜してたのが、ついこの前のようだ。お前と積み重ねる日々は楽しくて仕方ない。あぁ、…だから、こんなにもあっという間なのかもな。冬に出会って、段々と気温が上がる度に気持ちは盛り上がっていった。こうしてまた、出会った頃と同じ季節を迎えようとしている。あの時よりも確実に距離は近付いて、色んな事も知った。そりゃ勿論、不安も増えた。悩むことだってな。楽しいことばかり、って訳じゃねぇよ。嫉妬だってするし、寂しく思うことだってある。それも、好きだから、だよな。好きだから不安になるんだ。7ヶ月前よりも着実にお前に溺れてるぜ。今月も愛してる、ベルトルト。