1 エルヴィン・スミス

私の最愛の花に告ぐ

三度目の節目を迎えた今日、この場を借りてお前への想いを綴っておこうと思う。

私達の出逢いは、私がこの場所でお前の貼紙を見付けた事から始まったんだったね。先ずは一週間の同居という約束だったが、その後お前の方からまだ一緒に居たいと継続を意味する言葉を貰えた時は本当に嬉しかった事を憶えている。

お前を見付けたあの日…あの場に記されていた言葉通りお前の世界に少しでも色を施す事が出来れば本望だと思っていた筈が、それが今や如何だろう。色褪せていた私の世界に再び彩りを与えてくれたのはお前の方で、私はこんなにも日々満たされているのだから実に滑稽だ。
なあ…リヴァイ、お前は私の隣で同じ様に幸せを感じてくれているだろうか。

お前が偶に見せてくれる、あどけない笑顔が好きだ。無防備な寝顔も可愛い。私がそう言えば別に可愛くないと第一声に突っぱねてしまう…そんな所も愛おしい。朝は必ず顔を見せてくれる健気な所も、私の好物を憶えていて振る舞ってくれるその愛情深い所も。恥ずかしがり屋なお前も、甘えるとなると不器用な姿を見せるけれど誰よりも甘やかし上手なお前も…如何しようもない程に、大好きだよ。

三ヶ月という短い期間でお前の全てを知ったとは到底言えないが、きっとこの先私はどんなお前の姿にも惹かれる運命に在る事だろう。そして、何度もお前に恋をする。だからこの先も如何か私の隣で…色々な顔を見せ続けて居てくれ。


あの小さくも可憐な花に囲まれて過ごす未来が私達に待っている事を、今でも願っている。
2 エルヴィン・スミス
さて…四ヶ月だ。事故に妨げられた日も危うくその手を離しかけた日もあったが、今日までお前と共に歩めた事を本当に幸せに思う。

お前はよく私を甘え上手だと言ってくれるが、本来は決してその様に出来た人間では無くてね。恋愛において不器用なのはお前ではなく私の方で、実を言えば甘い言葉を紡ぐ事も余り得意な方ではない。恋仲と言えど自ら寄り掛かる事は意識的に控えてしまう筈なんだが…それがお前の前では如何いう訳か格好がつかないんだ。
詰まる所、この臆病な男をそうさせてしまう程に慈悲深いお前は魅力に溢れているという事だよ。本当に、こんな私の傍に収まるには勿体無いと身にしみて感じさせられる。…なんて、そんな事を口にすれば温厚なお前の怒りを買ってしまうかもしれないな。

お前が掛け替えのない唯一の存在だと、この長い休暇を共に過ごした事で改めて感じさせられた。今はお前との初めての旅行の途中だからな…その目が無い隙にこっそりと此処に綴っておこう。

私の愛しいリヴァイ…私のこの身も心も、この先もお前の傍に。
3 リヴァイ
4ヶ月目だ、俺もお前に綴らせて貰おうと色々考えて此処にやって来たら、既にお前からの言葉が残されていて考えてたものが一気にぶっ飛んだ。如何にも俺の恋人は先手を打つのが上手いらしい、と再確認しちまった。そうだな…先ずは4ヶ月、お前と同じ時間を過ごせた俺は本当に幸せ者だ。ありがとう…エルヴィン。
手を離さずに居てくれたからこそ、今がある。そう思うと…あの時も懐かしく思えちまうな。だからと言って離したりする事はねぇし、そんな選択肢すら存在しねぇんだが。

俺は別に慈悲深い訳じゃねぇし、お前が言う程優しい男でも無い。別に不器用じゃねぇってお前は言ってくれているが、俺は器用じゃねぇ自覚はある。だから少しでもお前に感情を伝えられる様にしたいと思っている。…ぎこちねぇのに、それでも笑って受け入れた上にこのままで良いだとか言い出すんだからお前の方こそ余程慈悲深い男だろう。
格好つかない臆病な男、然も慈悲深いときた。それこそこんな俺の傍に収まるには勿体ねぇと思うんだが、だからと言って手離せる訳じゃねぇ。もう離して遣れねぇんだ。お前が大切で、俺にとって掛け替えの無い唯一の存在だからな。
不器用で臆病だなんて、今のお前を見てると想像も付かねぇ気がするが…俺に出逢う前はそうだったんだろう。だが寄り掛かってくれて、聞いちまうと思考停止しちまうんじゃねぇかと感じるくらいに甘い言葉を向けてくれる今のお前が、俺の知るお前だ、エルヴィン。
そんなお前が、俺は好きだ。きっとこれからもまだ知らねぇお前を見て知って行くんだろうな…その度に、俺はまたお前に惹かれるんだ。

この休暇が終わっちまうのが本当に惜しい。もっとお前と過ごしていたい、と柄にもなく駄々っ子になりそうで困るが…仕方ねぇな。なぁ、初めてのこの旅行は最後迄過ごしたいと思ってる。…付き合って欲しいと言ったら、叶えてくれるか?

さて、気付いた事を知られねぇ様に装いながら綴って置こう。
俺の大切な、愛しいエルヴィン。何時も、お前の傍に。
4 エルヴィン・スミス
お前と共に生活を始めて、今日で5ヶ月。
恋仲の関係を築けたのは少しだけ此方寄りの事だが、お前と過ごした時間はやはり何れもかけがえのないものだと節目を迎える度に強く感じさせられるばかりだ。

思えば当初の私はお前にどう接して良いものか解らず、情けなくも想い悩んでいた事を憶えている。初めてお前をこの腕に抱き締めた夜は柄にも無く、それはもう緊張で胸が締め付けられる思いだった。…今ではそんな姿を些かも思わせないほどにお前を抱き締めては離さないばかりでいる私がこれを言うのだから、お前には笑われてしまうかもしれないね。

お前の新たな一面を知る度に、私のお前への想いは日々増すばかりだ。底無しのこの想いがいつかお前の負担になるのではないかと未だ不安ではあるのが本音だが、先日お前がくれた言葉を信じて…これからも傍で甘えさせて貰おうと思う。そして偶にはお前を甘やかせてやってくれ。

なぁ…リヴァイ、私の最愛。
次の節目で半年。この日を共に迎えるその時は、これまで以上に私に愛される覚悟をしておいてくれ。
5 リヴァイ
お前と出逢って、今日で5ヶ月だな。
未だ5ヶ月だったのか、とカレンダーを見て確認しちまったくらいだ。
生活を共にして、同居人から恋仲へと変わった今が尊いとすら感じられる。嬉しさと、愛おしさと、…お前と居られる幸福感も、な。

そう言えば、何処まで触れて良いのか解らない、と言っていたよな、暮らし始めて少し経った頃だろうか。律儀で、真っ直ぐな奴だと思った。そんなのはお前の好きなように、好きなだけ触れれば良いじゃねぇか、と思ったあの頃から俺はお前に惚れていたんだろう。本当に、今となっちゃどの口で言ってやがる、と言いそうになるが…距離を測るように確かめていたあの頃と違って、今はお前の腕の中が俺の居場所なんじゃねぇかと思うくらいに抱き締めてくれるお前が、俺は好きだ。

だから、負担になるだなんて思うな。俺が何れだけお前に惚れてると思ってるんだ、底なしの想いとか言ってるそれが、お前だけだと思うなよ?目一杯甘やかしたくて、目一杯…俺を甘やかして欲しい唯一人の、唯一の存在がお前なんだ、エルヴィン。
茶目っ気のあるお前も、少し狡いお前も、甘えたがりなお前も、甘やかそうとしてくれるお前も、大好きだ。未だ見た事のねぇお前も、きっと好きになる。

半年の節目を迎える日が、今から楽しみだ。
なぁ、エルヴィン。…その日は二人で種を蒔こう、時期は少し遅くなっちまうかも知れねぇが、これは強い花だろう?きっと…春に芽吹く筈だ。それを楽しみに、最愛のお前と二人で、あの種を蒔こう。
6 エルヴィン・スミス
お前が傍に居てくれる、ただそれだけで私の世界は鮮やかに色付く。ああ…なんて幸せなんだろうな。

敢えて日を置いて此処で言わせて貰うが、私が生まれた節目であるあの日…お前のとある行動には強く動揺させられた。

その理由はまた、間近に迫る半年の記念日に。
7 リヴァイ
気付くと意識は左手へと向けられている。
軽く拳を握ると、ひんやりした感触がほんのり体温で暖まるのが妙に愛おしい。
細い存在感が、こんなにも大切で、愛おしいものだと…俺は知らなかった。

お前と迎えた半年の節目は、言葉に出来ねぇ位に幸せだ。
幸せ過ぎて、本当に如何にかなっちまいそうな位だ。
俺をこんなに幸せにしてくれるのは、お前だけだ。俺は…お前にも喜んで貰いてぇし、幸せを感じていて欲しい。なぁ、お前も感じてくれてるか?エルヴィン。
俺の求めるものを与えたいと言うお前に、俺も与えたいと思っている。形あるものも、形のねぇものも。お前が望む全てを、出来る限りお前に届けたい。
これから過ごす日々で、俺にもお前に届けさせてくれ。何時も貰ってばかりだと俺が言うと、そうじゃない、なんてお前は言うが…俺の方がお前から沢山貰ってるんだ。サプライズ好きなお前には如何にも勝てねぇしな。

あの青い花を、春まで大切に育ててやろう。芽吹いて、蕾が綻び始めて…プランターを染める青い花を二人で見よう。
お前となら春迄の時間すらあっと言う間に過ぎそうだが…それよりも、もう少しでハロウィンだったな。俺の好きな衣装を身に付けてくれるお前の姿が、今から楽しみだ。

今夜は思いの外早く終わったんだ、だから寄り道をしてこっそり此処に立ち寄ってみた。お前が何時これを目にするかは解らねぇが…、偶には悪くねぇだろう?
8 エルヴィン・スミス
この場所を使うのは久方振りだが、10回目の節目を迎えられた記念にお前への言葉を残しておこうと思う。お前は今ではあまり此処を見ていないようだから、これに気付いてくれるのはいつの事になるのか…私にとっては密かな楽しみでもあるな。

まだ私達が結ばれて間もない頃、お前の事が知りたいと何度も強請った男の事をお前は覚えているだろうか。
恥ずかしい話、当時はお前との距離を詰めたい一心で、しかし勝手が解らずただ一人もがいていたような気がするが…この10ヶ月を共に過ごす中で、お前は色んな一面を私に見せてくれたね。

健気に想いを向けてくれる優しい性格は以前から変わらないな。貴重な休暇にも関わらず仕事に向かう私の為にと、朝から弁当を作ってくれたお前が本当に愛しくて堪らなかった。今ではあの形の卵焼きが私の大好物だ。甘やかし上手なのは勿論だが、実は甘えたがりだという事もちゃんと知っている。猫のように擦り寄って来られる度に疲れが飛ぶように癒されるんだ…相変わらず現金だろう?恥ずかしがり屋なのかと思えば実は大胆な一面がある事も、お前が周りに好かれる人間だという事も……全て私が愛して止まないお前だ。

暑さにも構わず寄り添いながら夏を越して、秋には私達の花の種を二人で植えて、今まで以上に互いの体温を感じながら過ごしたこの冬をこのまま共に越せば…次に迎えるのは、私達が出逢えた春だ。

可憐でいて綺麗な姿を見せるあの花の傍らで、お前と一緒に春を迎えられたらと心より願っている。
…だから改めて、この先も私だけのお前で居てくれ。


唯一かけがえのない、最愛のお前に告ぐ。
9 リヴァイ
エルヴィン、お前と過ごすようになって一年だ。色の無かった俺の世界だったが、今はお前が運んでくれた眩い光と、鮮やかで艶やかな色で満たされてる。

金色、銀色、蒼色、淡い桃色、赤、ミントグリーン、シャンパンゴールド、それに青。もっと沢山の彩りがあった。きっとこれからも沢山の色が増えて行くと思う、お前と過ごす日々で見付けた色、お前が運んでくれる色で。…お前の日常にも、俺は光を灯せているだろうか。お前の世界に、俺だけの色を運べているだろうか。色々と心配性なお前を満たす事が出来ているなら嬉しい限りだ。
心配性なお前も、俺は好きだ。甘えたがりで甘やかしたがりな所も好きだ。優しい声で俺の名前を呼ぶ所も、時々困ったように笑う顔も、そのでかい手で頭を撫でたり、頬に触れる長い指先も。離れ難い朝、駄々っ子になり掛けるのを堪えるような所も、本当に心から愛おしくて堪らない。時々見せる嫉妬も、全然嫌なんかじゃねぇんだ。妬く必要なんかねぇのに、と、それすら堪らなく愛おしいと言ったら…お前はやっぱり困ったように笑うんだろうか。

二人が出逢った春を、二人で迎えられるこの幸せはきっとお前も感じてくれてるだろう。青い花を愛でて楽しんだら、また種を集めておこう。秋にはそれをまた二人で蒔いて…青い花を増やして行こう。そうすれば何時か青い丘を、なんて考えるのは流石に夢見がちか。春を迎える度に増える青い花を楽しみにするのも、お前とだから…お前としか出来ねぇ事だからな。

お前とだから、俺は幸せだと断言出来る。…愛されていると、自信を持って言い切れる。お前もそう感じてくれていれば良い。迷わずに、俺に愛されていると言い切れる程…俺の想いが伝わっていてくれると良い。俺は今も、この先も。お前だけの俺だ。忘れずにいてくれ。

唯一無二の、かけがえのない最愛のお前へ。
365日の愛を込めて。
10 エルヴィン・スミス
…筆を取らなくなったのは何時からだったか。
振り返ればもう一年以上もここにお前への言葉を残していなかったんだな…私は。節目を迎える際には何時だってお前が傍に居てくれるから、その心地好さに満足して甘えていたのかもしれない。ふふ、決して忘れていた訳ではないぞ?ここは今も変わらず、お前との大切な場所だ。

月日の流れは本当に早いもので、お前と出逢ったあの日から2度目の大きな節目を迎えた訳なんだが…お前と過ごした日々はとても2年間とは思えないほどに濃密で、もっと古くから共に生きてきたような不思議な感覚に陥る。

なぁ…先日お前は自分自身の事を世界で一番の幸せ者だと言っていたが、そう感じているのは私も同じだ。
こんなにも愛しいお前が恋人として傍に居てくれて、こんなにも沢山の愛情を与えて貰って…これ以上の幸せを私は知らない。狂おしいほどに愛しいと、何に代えても傍で守りたいと…そう想える相手は後にも先にもお前だけだよ。
お前以外は要らない、お前でなければ駄目なんだ。お前が隣に居ない未来は考えられない。

二人で迎える3度目の春。
あれだけ綺麗に咲いていた桜は儚くも散ってしまったが、お前は何時までも私の隣で愛らしい笑顔を見せ続けてくれる…そう信じている。これからも一緒に歩んで行こう。この先もどうか、私だけのお前で在り続けて居てほしい。


隣でテレビを観ている可愛いお前へ。
愛の言葉は、直接。
11 リヴァイ
お前がこの世に生まれた日を祝って、感謝しよう。
この場所に想いを綴るのも久々だな…、直接伝えてぇ言葉は既に届けている。だが偶にはこっそりと綴るのも悪くねぇだろう?

お前と過ごす日々の中で、色んな事があったな。サプライズ好きなお前に何度驚かされて、何度喜ばされた事か。お前はそれすら楽しんでるんだろうな、きっとそうだ。そんなお前を俺も喜ばせてぇし、驚かせてやりてぇと思っているんだが…悔しい事になかなか上手くいかねぇ。だが、それでもお前は喜んでくれるんだよな。それが堪らなく嬉しいし、何よりも幸せだ。
…可笑しいな、お前の誕生日を祝う言葉の筈が、俺が嬉しかった事を綴ってるじゃねぇか、脱線した。
改めて、だ。この日をまたこうして祝えて幸せだ。お前が生まれた日を祝うのは俺だけだ、そうだろう?最愛のお前がこの世に生まれて来てくれて感謝するのも、俺だけだ。
おめでとう、エルヴィン。
プレゼントは現在進行形で渡してる…って言って良いんだろうか、あれは。
最後まで喜んでくれりゃ嬉しいし、何ならおかわりで他にも、ってのも選択肢のひとつだと、こっそりここに記しておこう。

愛おしくて何よりも誰よりも大切なお前へ、おめでとうと、ありがとうを。
大切な言葉は、お前に直接届けよう。