1 リヴァイ

指輪と999本の濃紅色の薔薇

  
  
───今日は、ホワイトデーだな。…、バレンタインの時には出逢えていなかったが、来年は共に過ごしたい。俺は、そう思う。丁度出逢った日も近かったしな。俺にとっちゃ、お前に出逢えたことが少し遅いバレンタインのプレゼント、だな。だから、その代わり、お前に礼をくれてやる。───愛する恋人へ、細やかなプレゼントだ。お前には悪戯だ何だと言ったが、今回は悪戯じゃねえよ。お前も知っているだろうが。生憎、俺は素直じゃねえ。…、お前が無事に気付いた時は、お前に褒美をやる。───前にお前が言った、とびっきり深い口付けを、な。それから、お前に紅茶淹れよう。今なら、クソ甘いチョコレート付きでもいいかもしれん。───てめぇなら、十分伝わるはずだ。
 
 
 
お前に出逢えて本当によかった。…、やはり大事な奴が傍に居るのは良い。俺の普段全く変わらねえ口許が、若干弛むのがアレだが。───まあ、何だ。お前との縁を大事にしたい。今も、これから先も、ずっと。───、お前と俺。一体、どっちが先に惚れたんだろうな。俺の場合は、完全に一目惚れだ。お前を煽る為に告げた言葉も、お前の好みを知りたいと聞いた言葉も、全部。お前の意識を俺に向けさせたい、その一心だった。───お前の言葉や行動も、仕草や表情も。溢れ出る優しさも、全てが好きだ、───。…、まあ、お互いに約束していた流れとは若干違ったがな。お前が言わなきゃ、俺が言っていた。だから、お前から言われた時は、心の底から嬉しかった。今更だが、改めて礼を言うとしよう。───ありがとうな。

 
───何れ、お前が綴っている手記も必ず、手に入れる。一人で綴る以外に、交換日記という手段もあるらしい。…、お前の顔がだらしなく弛む悪戯を添えたい。そして、てめぇのそのクソ情けない面を、写真に納めるとしよう。…、何時か俺も、お前と同じように、手記を綴りたい。だから、先ずは此所で愛を綴ろうと思う。───そして。何時の日か、お前にクソ大量の花束と指輪を渡そう。俺が花束を買う所なんざ、想像すらしていなかった。お前が花束を買う姿は、嘸かし映えるだろうな。───渡すとすりゃあ、記念日、とやらか。お前と出逢った日付か、お互いに告白をした日付か。それとも、お前の誕生日か。何れが相応しいだろうな。
 
 
───題名の意味。お前なら、わかってくれるだろ?薔薇の花言葉は本数や色、状態に因って変わるらしい。俺が真っ先に浮かんだのは、999本。気障で洒落たお前なら、わかるはずだ。───俺はもう、お前以外考えられない。クソ甘い科白を囁き合いたい奴も、情事を重ねる奴も全て。お前の声や言葉、温もりを貰う度に悦びも感じている。嬉しいとも思う。満たされている感じもする。…、だが、まだまだ欲しくて堪らない。ただ、お前の声が聞きたい。───エルヴィン・スミス。これから先も、俺はお前についていこう。今度は、お前を愛して守り抜く為に、な。だから、お前にはこれからも俺の傍に居て欲しい───。


 ───俺も、お前のことを嘘偽り無く愛している───。
  
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