1 エレン・イェーガー

大切なお前へ

急に届いた手紙を読んで、暫く立ち尽くしちまった。
お前ってさ……なんか、本当不意打ちだろ。
元々裏表なさそうな印象だったし、最近じゃ結構、前は言ってくれなかった気持ちを自然とくれるようになって、つい忘れちまうというか、そんなイメージないというか、失念しちまうんだけど。でも、自分で言ってる通り、言葉にするのが苦手だったりすんのかな。伝えてくれてる言葉はほんの一部で、お前の中にはもっとたくさんの気持ちがあったりすんのかもな。本当は、ずっとずっと前からそうだったのかもしれなくて……前のオレは、気付けなかった。

でも、一年と三ヵ月、こうして一緒に居ればさ、気づけばもういつも心の傍にお前を感じてる。
不安になったり、疑ったり、見失ったり、もうしなくて済むくらいには、繋がってるって感触が確かに在るんだ。

オレだって大好きだよ。
どうやったら、この気持ちを全部伝えられるのかって、今もこれっていう言葉が見つからない。
性格変わったのか?なんか、一つ勝ったみたいで嬉しい。
知らなかった。そんなに呼んでくれてんのか?
これも知らなかった。だって、お前全然泣かねーし。……いや、まあ涙は割と見たりはするか。いつとは言わねーけど。
オレの名前を呼ぶ声も、胸元にぺったりくっついて寝るいつもの姿勢も、逆に胸元に抱き締められんのも……いや、これ好きって言ったらちょっと負けな気がするんだけどよ……まあ、好きだよ。…なんだよ。
お前が教えてくれた掌を合わせる仕草も、通じ合う気がして好きだし、おでこくっつけて見つめ合うのも、海みたいにきらきらしてるその瞳の色も、笑った顔も、膨れた顔も、照れた顔も、全部好きだ。
頬引っ張られるのは嫌いだ。伸びちゃうだろ。最近引っ張り過ぎだから。

そうだな。どんなに好きでも、同じ人間じゃないから、違う事なんていくらでもあるんだろうな。
でもさ……いつだって、お前の元に駆けつけたくなる。のんびり歩いてなんていられない、この気持ちが一つあれば、どうでもいいよ。
お前が大好きだ、ヒストリア。好きで好きで仕方ない。いつだって大切で、オレにはお前が居る、そう思い出すだけでいつだって力が湧いてくるんだ。
言葉にするのが苦手でも、今は知ってるよ。毎日欠かさずに傍に居てくれる。お前の気持ちを知るには、それだけで十分だったんだよな。
今日まで一緒に居てくれてありがとな。これからもよろしく。

…記念日じゃねーけど。不意打ちには不意打ちって形で、手紙の返事置いておく。15分じゃ纏まらなかったけど。
もうすぐ、クリスマス。二回目だな。今年はどうすっかな。…って考えるだけで、今日も幸せだ。
愛しています。

エレンより