1 リヴァイ

三ヶ月ですね。

お化け屋敷で。抱き着かれるかもしれん、そう思って背筋を伸ばした俺が馬鹿なんだろう。案の定お前は涼しい顔をしていた。俺のぶつからない仕掛けに頭をぶつけていたのは…ドジっ子だからだろ。問題ない、知っている。

路地裏でしたキスは、酒臭かったか?

俺の肩で眠るお前にたまらなくなった。眠る顔は若けぇ頃と、何ら変わっちゃいねぇ。ああいや、目尻の延長に小さい筋が見えるような気がしなくもない。

小料理屋で食った鴨肉は美味かった。女将もいい女だ。

射的の景品があんなクソデカイ熊のぬいぐるみだとはな。誤算だ。お陰で俺の視界は熊、明日若い娘が噂するだろうよ。
「熊を抱いて歩くちびで目付きの悪い三十路男を見たー。削いでやりたいわー。」
こんな風にな。
エプロン着て慰めてくれ。

リヴァイかっこいい、こう言われたい。早く着てぇな、あれ。

預かっている犬、宿題、レモネード。ベッド。

思い出がいっぱいだ。お前のお陰で、そりゃあ楽しい三ヶ月間だった。
匂いを嗅がれるわけにはいかん、と逃げ回った三ヶ月間でもあったが。レモンの匂いだ、まるでファーストキスの。例えばこう言われたら、うるせぇクソが、と言う自信がない。

つまりは、なんだ。
三ヶ月ですね。団長。
畏まって言ったって、たまにはいいだろ。照れ隠しに。
俺のエルヴィン。今日までありがとう。そしてこれからも俺といてくれ。私のリヴァイ、と言って微笑んで欲しい。
2 エルヴィン・スミス
私をドジっ子扱いするのはやめないか、リヴァイ。どうやらお前は私の事をこれっぽっちも分かってくれていないらしい、悲しいな。…なんて言ってはみるが、今とても嬉しい。いや、驚いているほうが強いか。どちらにしろ、リヴァイ、この三か月を君と過ごせた事は私も嬉しく思う。

何となしに覗いたここで、まさか君の言葉があるとは思っていなかった。君はどんな気持ちでこれを書いてくれたのかな。それを考えると、リヴァイがとても愛おしく思える。

七夕の短冊、一緒に星空を見上げたあの日、他にも色々あったね。
私が君をデートに誘った時の、リヴァイのあの返答が未だに忘れられない。私はあの日、君の可愛さに一度死んでしまった。すぐに息を吹き返したけれどね。
熊のぬいぐるみも君と合わされば本当に愛らしかった。またもう一度抱いて、エルヴィン、なんて名前を呼んで見上げてくれないものか。君がどんな凶悪な顔をしていても、可愛いと私の脳は判断してしまうだろう。
ふふ…ははは、君は時々、急にセンチメンタルになるな。お前にしても私にしてもファーストキスなんてありえないが、君と私が初めてするキス、という意味なら…今度君の匂いでも嗅ぐとしようか。レモネードを用意してね。だからもう逃げないで、そこにいて欲しい。

普段可愛いとしか口にしていない気がするから、折角だし、明言しておこうか。
君の事は、誰よりも格好良いと思っている。リヴァイはもう少し、自分が他の者達から憧れの対象として見られている事を自覚すべきだ。私はこれでも、結構妬いているんだが。…聡い君なら知っているか。
私の懐刀。私の男。可愛い人。…私のリヴァイ。

これからも、私をよろしく。言葉をくれてありがとう。
3 リヴァイ
ハニー、花をくれ。シロツメクサがいい。それで花冠を作ってやる。いい年の男二人が花冠乗せて、羞恥に悶えるんだ。そうなりゃどちらが先に外すか、勝負だな。

初めて書くもんで、何をどう書けばいいのか分からん。

礼を言う。気付いてくれて、ありがとう。実のところ、当日に気付いて欲しかった。せっかくの日だからな。

改めて綴るのはクソ照れ臭い。お前への想いは十二分に伝わっている、伝えていると思うんだが、どうだ。いつだって俺は、お前に必死だ。そりゃあもう、クソダセェったらねぇだろうが。
それでもお前が、格好良いと言ってくれるなら…く、別に鼻の下伸ばして机叩いて気分がいいから雑巾掛けしようなんざ思ってねぇよ。

可愛くて上品で、少し抜けていて包容力があって、紳士でエロくて、優しいエルヴィン。

綺麗な月が出たら、デートだ。まぁ、俺は。お前の横顔ばかり見ているだろうがな。
4 エルヴィン・スミス
今日も月が綺麗だ。
でもまだ足りない、デートまでもう暫く辛抱することにしよう。
月で思い出したんだが、三日月を見た時にね、君が頭に浮かんだよ。鋭く尖って触れたら切れてしまいそうなのに、少し力を加えたら脆く崩れてしまいそうな…ははは。誰の事って、勿論、お前の事だよリヴァイ。

リヴァイの気持ちは、十分伝わっているとも。君の気持ちが分からない、なんて思ってしまった日もあったが、今は…信じられる。今もこうして、慣れない事を一生懸命頑張ってくれている君に、正直見せられない程顔面が緩んでしまって困っている。
欲しい花はシロツメクサだね、これはまた随分可愛らしいものを選んで…ん?ん、花冠か…、リヴァイ。私がいつでもお前のする事で恥ずかしがっていると思ったら大間違いだ。よし、この勝負は私の勝ちだな。君への罰ゲームを今から考えておくことにする。
後、これだけは言っておくよ。
君をださい…格好悪いと思った事は無いよ。私にないその一生懸命さが、最初の頃からずっと眩しい。愛してるよ、リヴァイ。
5 エルヴィン・スミス
随分と前のものを引っ張り出してみた。
六ヶ月前の私の文章は…なんだかこう、随分と余裕があるな。時が経つにつれ失われていく余裕に情けなく思うばかりだが、リヴァイ、九ヶ月間傍に居てくれてありがとう。
時期が少し早くて集めるのに苦労したが、約束していたものを君の部屋に届けておいたよ。
まだまだ寒いが風邪を引かないように。

私の格好良いリヴァイへ、お前の私より愛を込めて