1 リヴァイ

約束を破る

聡いお前なら、もう日記が灰になったことには気付いてんだろう。
俺達に降り積もるのは、雪ではなく、灰だったな。
そのどちらでもお前は笑うと言っていた。
そうだ、それでいい。

どうも俺は幸せには程遠い。
タイトル通り、職業病の肩こり由来の頭痛も治まらねえ。
安心しろ、一番の幸せはお前のそばに置いてきた。
過去の俺に嫉妬しちまうくらいには、日記を残しておくのに胸が軋んでな。
お前との約束を故意に破りたかったわけじゃねえってのは、弁解しておく。
お前のそば、居心地が良かった。
…人ってのは記憶だけで慰められることもあるんだな。

俺にはまだ見つけられねえが、俺にもお前にも、身の丈に見合った幸福がどっかにあるはずだ。
当分探しに行くつもりはねえが、これまで頑張ってきたお前だ。俺以上にお前を愛して受け入れてその心根を守ってやれる奴がきっといる。
…俺がそいつになれなくて、悪かった。

約束を破ったままってのは後味悪いからな。
燃やした灰で、ここに最後の詫びを書かせてもらった。
お前の太陽が、早く見つかるといいな、エルヴィン。