1 ライナー・ブラウン

無題

俺は、何をやってんだろうな。

お前には謝ってばかりだった。
お前は俺に謝るなと言った。
…理由も聞かず。

初めの頃そうしていたように
理由を話していれば何か変わったのか?
…いや、多忙なことを言い訳にしか出来なかったに違いない。
あとは、優しさに甘えちまっていたのかもな。
どれだけ遅くなってもお前は、寂しかったろうにそれを堪えて、いつだって、許してくれたから。

もう一度やり直したい、ってのが本音だが…
そんな都合のいい話を、もうお前は受け入れてはくれねぇだろう。
だから、やり場のない気持ちを此処に残しておく。

最高の愛と優しさをくれて、ありがとう。
…今でも、愛してる。
だから、幸せになってくれ。
2 ベルトルト・フーバー
……ライナー、君は、僕のライナーか?

あまり確証が持てないんだけど…、もしそうなら、少し話がしたい。
アザレアの花束と、日記。これで分かるかな。

もし違ったらごめん。君の良縁を祈るよ。
3 ライナー・ブラウン
まさか此処に返信がつくとは思わなかったな…。

俺の想い人はお前の姿じゃない。
お前を期待させるような文面で悪かったな。

お前に良縁があることを祈る。
4 マルコ・ボット
何が正解だったのかなんて、今でも分からない。
だけど、理由を話してくれたのなら仕方ないと割り切ることは出来たように思う。何の言葉もなく待つだけの状況は…酷く怖かった。
このまま君は二度と帰ってこないのかもしれない、飽きられたのだろうか、それとも他に想い人が出来たのか…日々疑心暗鬼になり、いつしか僕から鳩を飛ばすことさえも躊躇してしまっていた。
こんなにも薄情者で弱い僕なんて君には相応しくないと勝手に結論付けて終わらせた。本音をぶつける前に。
…君に幻滅されたくなかったんだ。


それでも今の気持ちを率直に言い表すのなら。

君がこういった場所に想いを吐き出すとは想像もしていなかった。去る者は追わない主義だとばかりに思っていたから…こんな言い方、不謹慎だと分かった上で。素直に嬉しいと感じた。
僕はね、ライナー。君の幸せを心の底から祈れないくらい、まだ好きなんだ…ごめんね。

また君と一緒に居たい気持ちと、このまま僕のことなんか忘れて欲しい気持ちとが複雑に絡み合って、心に大きな固結びを作ってる。

身勝手なことをしたのは僕だ。だから…僕からは逢いには行けないけれど。
手紙も住所も、君への想いも…何一つ消せてはいない。

ありがとう、ライナー。
撰ぶのは君だ。好きにしてくれたら良い…どんな選択をしようが、僕はそれを甘んじて受け入れるよ。


これが本当に最後になるかもしれないから。
沢山の感謝を此処に。