1 リヴァイ

ほとり

ああ、また逆戻り。掴んだと思ったら急激に押し戻される。俺がいた筈の場所に。何時もこうだ。……何時も。
こんな気持ちを吐露するのは自分でも幼くて悍ましい事だと思う。だが泣いて仕舞いたい気持ちは止まらない。そう思うのを許して欲しい。ああ、女々しい事この上ない。クソッタレ。
終わりってのは呆気ないものだ。お別れの挨拶の意味が一瞬分からなくて、理解した時は思わず鳥肌が立った。クソみてぇに脳味噌使って知恵を振り絞っても、突然やってくるそれには到底敵わねぇ。これが恐ろしかったんだ、……ということを思い出した。不確かな未来が恐い。愛すると言うことが恐い。愛されることはもっと怖い。餓鬼か、俺は。
だがそれでも、……何年か越しに信頼したいと思える相手に出逢えた。今でも信頼してる。だから全てが嘘だとは思わない。全て本当だからこそ悲しい。
数ヶ月振りにドブのような心地がする。ポエムチックに言えばこの数ヶ月はほとり、にいた。何もなくても幸せだった。だから多くを求める必要は無かっただけだ。
本当は貪欲で、貪欲で。
ああ、でも。だらだらと吐き出したお陰かもう狼狽してみっともねぇ返事を送ることはない筈だ。
これで今日を迎えることが出来る。

ただ残る泣きたい気持ちは何処かの小説みたいにほとりが飲み込んでくれる、といい。