1 リヴァイ

雨が止むまで。

お前が俺を認識するための鍵はタイトルのみで充分事足りるだろう。


あの日、返事は明日になるという言葉に頷いたが、言われた「明日」はまだ来ない。
互いの不可項目として約束したはずの白紙すらも、届かねぇ。

なぁ、俺はお前に何をしちまった?
お前の期待に応えられず飽きさせた、…無言から得られる答えはそれ一択なのか。

窓の外の雨音は耳触りが良く、包まれたタオルから漂う香りもまた心地が良かった。
雨に濡れたお前の髪も、錯乱する俺に動揺する表情も。重ねられる毎に好奇心を感じていた。
明確な情は何も生まれてすらなかったが、お前と先を紡ぎたかった。
愛やどろどろとした執着でなく、ただただあの時間が「楽しかった」それだけだ。


出来るものなら少しだけ時を遡りたい。
せめて自分の足で、お前の部屋から雨の上がった空の下へと、出て行けるように。
満足をさせてやれなくて悪かったと、それだけでも伝えられるように。
お前にとって白紙くらいは届けてやるかと思われるような存在で在れるように。

クソが、後悔と自責の念が募りやがる。
……会いたい。
2 リヴァイ
最後の望みをかけて、無言の促しをした。

お前とやり取りをした数日は非常に楽しかったぞ。だからこそ、無音で後を濁した終わりにはしたくなかった。例え一時でも続きを想像して胸を高鳴らせたやり取りへの礼や相手への敬意として、な。
…まぁ、お前からしちゃ適当な暇潰しだったのかも知れねぇが。

一時の雨宿りをありがとう、と此処へ感謝の意を綴り、そしてせめて、約束した明確な終わりが訪れる事を祈って。
3 リヴァイ
………。頭が沸いてんじゃねぇのか、俺は。
無言を促してどうする…白紙だ、白紙。

この促しにくらい、乗ってくれりゃいいんだが。