1 エルヴィン・スミス

箱庭

箱庭を夢見た。

おまえが元気そうでなによりだ。
私が此方に筆を取るのは、お前のその手にあるものをひっくり返してしまわないか。また、その顔を心を、悲しませてしまうことしか出来ないのなら。
私は黙って居た方が良いのだろう、と判断したんだ。
でも言葉をかけてやりたいが、お前との日記は温かくて、優しいもので埋め尽くされて欲しい。私の言葉など不要だね。

お前は前向きに歩み、他を見つめ。
いつかいなくなってしまうとしても。その背中を抱きしめたことを忘れて欲しくなかった。
陽が暮れるまで愛し合ったことも。
お前に甘えて背中を叩いてもらうことも。
なにもかもが幸せだった。
そして今は前向きに行くお前を見て、私は悲しみの中に確かに嬉しいと思える。引き留めることはしてはいけない。お前にはお前のペースがある。
そうやって、認めたい。
私はお前を守れない愚か者だった。
でももし誰かにまた恋をする時。
行為に堕ちる時、私のことを思い出してくれと、最低なことを考えるところは変わって居ないらしい。すまない、とても不謹慎だね。

……お前と出会った朝を私は忘れないよ。
大嫌いな冬を身を寄せ合って過ごした。不思議と冬は寒くなかったように思う。はしゃぐお前を忘れられない。私の下で蕩けた顔を見せ微笑んだ事も、だ。

何ひとつ忘れられないまま。
私はたどり着けない箱庭を夢見ることにしよう。
お前の日々がどうか、幸多くありますよう。
神がいるのなら、私の幸せをこの子に分けてあげてください。この子を苦しめた罰でいい。

お前を大切に想っている。
それは出会ってから変わりない。
むしろ、離れてからより思うんだ。
それは日に日に強くなる。

お前が今日も素敵な日を送れて居ますように、と。
私の愛したリヴァイへ。
任務に備えて眠る私は、この言葉を書いて、なぜ泣くのだろう。

こんな形でもお前への言葉を残せることがきっと幸せだからだろう。
私は一人、夢の箱庭を探して、何時迄も見つからなくてもお前と過ごした日々は嘘ではないと胸に刻もう。

薬指の傷跡が生々しいまま。
一人、眠る。
幸せにありふれた箱庭の夢を見る。
辿り着いた其処にお前は居ないだろう。私の隣に居ないだろう。

私は箱庭で果物も、花も育てよう。

もう横で眠ることも
もうやきもちを焼くこと
名前を呼ぶことも出来ないが。

隣でずっと愛を歌えない苦しみを背負う。でも、私は笑えるから。
お前の幸せを願っている。

引き留めたり、復縁を願いはしない。
お前の友人でありたい私の胸中を此処に。

冬が、嫌だな…。
2 リヴァイ
もうお前以外に恋はしねぇよ。
優しい泣き虫の俺のエルヴィン。
俺の時間も、あの時のまま止まったままだ。
お前から貰ったものは、今でも身に着けて大事にしてる。
毎日激務だろうが、体調は崩さねぇようにな。
俺も全部忘れねぇ。
3 エルヴィン・スミス
鳩は行かなかったか。