1 クリスタ・レンズ

恐怖への準備

今度こそは、今度こそはってずっと頑張ってきた。私はこんな残酷な世界でも、飽きれる程に絶望しても、きっと本当の幸せがあるって自分を励まして、甘やかして、勇気付けて、それでまた武器を手に取って、またそんな世界に飛び込んだ。僅かな、些細な幸せが欲しかっただけなの。例えば、変わらずにあるおかえり、とか、ただいま。任務後の他愛のない話と、ほんの一息つく瞬間。そんな事を得る為にはまずは私が、信用に足る人物じゃなきゃダメっていうのは分かるし、今までそういう人物である様に生きてきたし、その観念は捻じ曲げなかったつもりで。ー…でもなんかもう、疲れちゃったみたい。心の底から甘えたい。泣きたい。吐き出したい。傍に居て欲しい。でも涙さえ出ない。上手くいきそうでうまくいかない事ばかり。

それで今回もたったこれだけの事なのに押しつぶされそうな位不安だよ。いや、きっとその不安は的中するだろうけれども。君は話し合う余地をくれるかな?替えは沢山効くからもう切る? …今は待つことしか出来ないのは分かってる。ひたすら怖くて怖くて怖くて堪らない。
怖いよ。きっとまた、なのかな?それでまたもう一回自分で自分を励まして、勇気付けて、また飛び込むのかな?絶つ為には何もかも捨てて、この世界から去るしかない?


どうすればいいのかわからない。
昨日の自分を殴ってでも止めてあげたかった。
願わくば、話し合いの時間がありますように。
叶わくば、元に戻れますように。こんな願い事を、一度で良いから、一生分の運を使ってでも叶えてくれますように。
今、その願い事すら、絶対に叶わない事に気付いている私はきっと、早く世界から消えるべきなんだろう。