1 クリスタ・レンズ

本当は、

どんな事を言えば喜んで貰えるのか、どう挨拶すれば選んで貰えるのか、どう振る舞えば気に入って貰えるのか分かるようになって来た。差し伸べてくれる手や、与えられる甘い言葉は増えたのに……だけど、きっとこの偽りの関係は本物じゃ無いから、脆い偽りには必ず終止符が来る。あなた達が物足りなくなるのか、私が苦しくなるのか。

あなた達が愛しているのは、いい子のクリスタ。きっと、本当の私を知ったら驚いてしまう。愛してくれなくなる。だから、私はまた与えられた役を演じ続けるの。
…でも、本当は……いつか、

なんて夢物語、信じるのも怖いの。そう、私は臆病でつまらない、ただのヒストリア・レイスよ。