1 ミカサ・アッカーマン

家族だった

断ち切らなければならない。
家族の思い出も、引き寄せたあの小さな手も。

みんな失くした。手元にはもう、なにも無い。

あの時、貪欲に繋ぎ止める努力をしないで取捨選択をしたこと…後悔しているわけじゃない。
強請れないと知っていた。あなたを傷付けたのだから、追い縋る権利は私には無かった。

何も言わずに去っていく、そんな背中をただ見送った。


たらればの話は心を寂しくさせる……ので、振り返ることはあっても立ち止まらないで前に進もう。


エレン、アルミン。あたたかな日々をありがとう。私と出会って、一時でも手を繋いでくれたこと、感謝してる。…大好き。

どうか、元気で。
2 ミカサ・アッカーマン
立ち止まってはいない。…けれど、ふとした瞬間に振り返る。もう一度声が聞きたい。…会いたい。

あなたは今、どうしているの。
誰かの隣で幸せだと笑えてる?

決して恋人になりたかったわけでも、あの時以上の特別を築きたかったわけでもない。
ただ、何気無い日常を共に過ごしたかった。他愛ない会話の中で喜怒哀楽するあなたの表情を、穏やかに見守っていたかった。…その未練が、私にはまだあるようだ。


エレン。…エレン。
単純に愛想を尽かしたのなら良い。けれど、私の行動があなたを失望させてしまったのだとしたら…傷付けてしまったのだとしたら、一言、謝りたい。

あなた以上の人はいないと思う。
出会ってないだけかもしれない、私が知らないだけかもしれない。
でもね、エレン。私にとってはあなたが一番、いとおしい。