1 エルヴィン・スミス

他者の翼。

眠い目を擦り、お前の帰りを待つ日々は一体何だったというのか。愛の言葉、怒りの声、悲しみの文字、私に寄越した全てが偽りだった訳だ。…ああ、なんと愚かなことか。自分の見る目のなさに失笑するしかないな。

だが、あの時の君は確かに私の翼だった。これだけは隠しようもない事実だ。それも過去の話。たった今、私の思いは廃となった。…さあ、これでお前は自由だ。天国でも地獄でもお好きなところへお行き。願わくばその先が闇であることを。
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