1 ライナー・ブラウン

裏腹

俺達は軍人だ。

任務もあれば訓練もある。余裕を残した任務と訓練なんざありえねぇだろ?
だから、その分休暇で体を休めたり自分のやりたいことに当ててぇんだよ、俺は。

お前はよく、「自分を優先させてくれ」って言う。俺だって同じ言葉を返してるよな。当然だろ?お互いにお互いの生活があるんだからよ。
そうやって、お互いに自分を優先させながらの関係だから、お前と居るのが心地好かった。

……その均衡が崩れてきたのはいつからなんだろうな。
お前は、俺に自分を優先しろと言いながらも、徐々に俺の時間に割り込んでくるようになった。
任務や訓練以外の時間は全て自分に捧げろ……そう言ってきたな。
寂しい、我慢の限界…。
俺はそれでも、お前に連絡を怠った事はなかったはずだ。何が不満だった?

……悪い。
俺はもう、お前に応えてやれねぇ。
愛しいと思ってた感情が、徐々に薄れてきた…。もう、昔みたいに想ってやれねぇ。

…恋愛は、お互いがお互いをどれだけ想い合えるかなんじゃねぇのか?
好きなら会いたい、話したい、触れたい気持ちは俺も同じだ。…けどよ、ある距離を越えて踏み込み過ぎると地雷を踏むことになるぜ?

…俺は直にお前と距離を取り始める。
お前のその気持ちに応えてくれるような相手の方が、俺よりもお前には相応しいだろうぜ。

お前への愛しい気持ちに…さよならだ。
楽しい時間をありがとよ。