1 リヴァイ

奇跡なんて、起こらない

…分かっていた。ずっとそうだ。
俺はやはり、お前の一番にはなれなかった。お前がかつて愛した相手にも勝てなかったばかりか、俺の後に出会った奴らにさえも負けたんだ。
望みがないのは分かっていた。ただ、お前を想うだけで良いと思っていた。…それだけで幸せなのだと。
だが奇跡が起こるかもしれないと淡い期待は消えなかった、消せなかったんだ。
…それでもやはり、奇跡なんて起きなかった。
覚悟していた筈なのに、この胸の痛みは…溢れるものは、なんだろうな…