1 ミカサ・アッカーマン

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あれだけ淋しかったのに来ないものと割り切ってしまえば楽になった。簡単なことだった。
貴方はもう居ないけど貴方の居場所はまだ捨てられない。私はいつでも貴方の事を暖かく迎え入れたい。そんな未来は無いとしても。貴方が辛い時、時間を持て余した時、人肌が恋しい時、ふらりと寄ってくれる事を密かに期待している。そんな存在になりたかった。
こんな部屋があるから、こんな部屋があるせいで、こんな部屋があるおかげで、私は貴方の思い出を捨てられないのね。
ふと思い出したら訪ねてきて欲しい。部屋を片付けて布団を干して力いっぱい抱き締めて貴方を迎え入れるから。