呼ばれない名前

いつになったら俺は呼んでもらえるんだろう。
触れ合いたいのに其れすら儘ならない。
そうしている内に貴方は俺の知らない人の元へ行ってしまう。

帰って来てくれるのは知っているし嬉しいけど……。やっぱり笑って行ってらっしゃいも、行ってきますも言えなかった……。

未だに胸のモヤモヤは消えない。
噛み砕いて、飲み込んで、不要なものとして吐き出せたら楽なのに。

こんな些細な事を何時までも抱える俺はおかしい。
自分の行動を棚にあげて、貴方に多大な負担を強いる自分が嫌いだ。

こんな女々しい俺なんか、あの人ごとこのまま封じ込めた方がいいんじゃないかって……。
思っても、きっと出来ない。

ごめんなさい……。

もう、期待するのはやめよう。
何時まで経っても呼ばれない事を悲しんだって現実は変わらねぇ。

ただ、時折でいい。少しでも何の意地もなく甘えたかった……。
あの人では出来ないことをしたかった……少しの時間だけでも……本当にそれだけだったんです……。

でも、いいです。
其を少しでも辛いと思われるくらいなら、もう、いい。

おやすみなさい……あの人の中で、眠りにつきます。