1 クリスタ・レンズ

相性の是非

あんな事、冗談でも口にするべきじゃ無かった。…なんて、今更後悔しても遅いよね。
酷く曖昧な物が言葉にした所為で凝固して、こうして自分自身の胸の中に痼りとして残ってしまうだなんて思ってもみなかったもの。

偶々自分の口に合っただけ?
久し振りの食事でお腹がペコペコだったから、その時出された料理を想像以上に美味しく感じただけ?
私の為に作ってくれたというシチュエーションが、その味を引き立たせてたの?

想い出の中に在る味を無意識に捜して居る自分に気付く度に、何だか少し悔しくて笑ってしまうの…。──うん、貴男はやっぱり×××××、だったね。
相性なんて幻想、良い加減捨てなきゃ…