1 リヴァイ

今は墓の下

あの時手を伸ばせばお前とまだ縁が繋がっていたのだろう。きっと。おそらくは。
今この瞬間でさえ遅過ぎはしないのではないかと自惚れてすらいる。

だがもう元には戻れないんだろう。
鞘にはヒビが入ってしまった。
お前の、突き放すような拒絶の仕方が恐ろしい。
刀身もどこか歪んでいるかもしれない。
俺が負荷をかけ過ぎた。

寂しさに音を上げてお前に連絡してしまいそうになるが、お前の吐いた言葉を思い出しては自重している。
蝗害のように黒く、容赦無く、緑の木を食い折った言葉の群れ。
お前のせいにするわけじゃねぇ。あれらをお前の口から溢れさせたのは俺だ。
仕方がねぇから折れたままでいるしか手がない。水も枯れた。
俺が悪いんだから迎えに来てくれることもないだろう。


お前に貰ったもの、一緒に購入したものは全て棄てようと思う。
水槽と金魚だけ残して、金魚の寿命がきたら水槽も廃棄しよう。
幸せも今は墓の下だ。