お前の声を借りて

いつもの姿じゃ言い難いことも含め、偶には不慣れな姿で吐き捨てたっていいだろう。

俺等は本当に相性が良いんだろうか。
まあ誰に聞いたって分かる筈もねえが。
少なくとも俺は疑問を持ち始めてる。
俺でお前は満足か？
俺は度々、という程多くない頻度ではあるが彼奴の陰に捕らわれた侭だ。
別に未だに愛してる訳でも、復縁したい訳でもねえ。勘違いしてくれるな。
ただ思い出ってのはこんなに苦しいものかと思う。
それをお前に全く話せてねえのも何だ、騙しているに近い感覚がして罪悪感が過る。
離れないか、消えないかと時折確認する根源は此処にある。
もう首輪を付けられっぱなしで野に放たれるのは御免だ。
だったら付けるな。飼えもしねえのに。と言ってやりてぇ。
……花束。今でもその言葉を向けられるような雰囲気だろうか。
もう随分と変わっちまっただろうな。

不安なんだ。こんな餓鬼な俺でもいいと、お前が本当に思ってくれてるのか。
怖いんだ。こんな脆弱な俺を見せたら、優しいらしい俺のイメージが音立てて崩れるんじゃねえかと。
基本的にはテメェのことはテメェで出来る。お前の足枷になるつもりはねえから安心しろ。
偶に頭撫でて、此処にいて欲しいと言ってくれれば。俺は尻尾振って馬鹿みてぇに懐いてお前に尽くす。

世辞で紡ぐ言葉なんぞ要らねえから。飾り気のない本物だけを寄越せ。
本心が出て来ねえ程愛情が薄まった時は潔く野に放ってくれれば其れでいい。
面倒臭え、嫌な奴で悪いな。