1 サシャ・ブラウス

醜いこころ

どうして私じゃないんでしょうか?幸せに満たされた貴方はとっても素敵ですよ、失恋して涙を流していたあの日なんて忘れてしまうくらいに輝いていますよ。でも……どうしてあの子なんですか?私の方がずっと前から貴方を好きでいたのに、支えていたのに…私じゃ駄目だったんですか?貴方のその口からあの子の名前が出る度に私の脳が揺さぶられて、心の中がどす黒く染まっていくんです。あの子はとても可愛くて、優しくて…素敵な人です。だからこそ、憎くて堪らない。けれどあの子は私にとっても大切な友人だから、今日も私は貴方達の惚気話を固くて不味いパンをかじりながら聞くんです。

「やっぱり二人はお似合いですね!」

…本当に、お似合いで。
ずっとずっと幸せを願っています。