1 アルミン・アルレルト

最愛の君へ

エレンへ。
久し振りだね。…って言うほど時間は経っていないんだけれど。元気にしていますか?
僕は相変わらず、毎日のように訓練でへとへとになっているよ。すっかりと草臥れて兵舎に戻ってからなんとなく窓辺を見るんだ。そこに君からの鳩が止まっていない事が少しだけ寂しいと感じるのは、最近とても寒いからかもしれないね。
優しいエレン。可愛いエレン。僕は、どうやら君がとても好きだったみたいだよ。君から貰った最後の手紙…っていうか、三行半なんだけどさ…それを消せないでいるんだ。他のは全部燃やして、君から届く手紙だけをしまっていた宝箱も解体して、書き留めていた印もすべて消してしまったのに。これだけは手放せないまま鍵をかけてあるんだ。
未練がましいって怒るかい?でもね、僕の隣には、もう人がいるんだ。君が言った通り…僕は寂しがりやの愛されたがりみたいだ。我ながら呆
れて物も言えないよ。
うーん…僕、何が言いたいんだろう?よく分からないや。
エレンは今、幸せ?僕は幸せ。たった短い間でも君といられたこと、少しの間だけでもお互いを愛しあえたこと。とてもとても大切なんだ。思い出すとあったかくて、ちょっぴり悲しくて、幸せだなって。
ねえ、エレン。最後まで我儘を言って困らせちゃってごめんね。たくさん傷付けてごめん。
僕を好きになってくれてありがとう。僕に好かれてくれてありがとう。
僕、エレンが大好きだ。
エレン。僕が願うのは烏滸がましいと思うけれど、どうか幸せに。それと、体調には気を付けて。大変だろうけどこれからも毎日を頑張ってね。

…気付いた?僕は兵長の代わりだよ。
おやすみ、エレン。