1 ハンジ・ゾエ(代理)

無題

愛して、愛して愛して愛して、全身の中身が裏っ返るぐらい私の中の全ての感情を吐き出して愛して、叩きつけて、注いで、それで何が残ったんだ。

いや、残そうなんて思っていただろうか?そりゃ思ってなかったよ。気付けば泥沼にハマってたってだけで始めは何のことない、ちょっとした散策かピクニックかのつもりで───何の間違いか、すっごく遠くまで来ちゃった挙句に帰れなくなった訳だけど。


柔らかい砂糖の粒が舌の上で綻ぶあの一瞬の幸福を、貴方に教えて貰ったんだ。
或いは金平糖の角を舌の上で延々と溶かす楽しみ方を、そして歯の間で他愛もなく崩れるあの星の儚さを。その危険を。

ねえ。貴方は憶えてる?もう忘れた?そっか。だろうね。