1 ジャン・キルシュタイン

今更戻れる訳がねぇ

なのにこうして何回もここに来ちまうのは、オレの中にみっともない未練が残っているからなんだろうな。

お前と過ごした少しの間、本当に幸せだった。
でも、お前の本気の告白を聞いた瞬間に怖くなった。
今までこの世界でそんな風に、真面目に付き合った相手なんて居なかったから戸惑ったってのもある。それからお前が誘ってくれた日記とか、メールとか……正直苦手意識が強くて、嫌だと思った。オレ、案外奥手なんだぜ?そういう濃厚な絡みを前に、足が竦んだんだ。お前と最初に会った時みたいに、適当に待機して行きずりの相手と絡むくらいが丁度いいんだろうな、オレには……情けないだろ?
だからお前の好意を受け取っちゃダメだって思ったんだ。綺麗事言って、誤魔化してな。……本当に、ごめんな。

だから、今更戻れる訳がねぇ。
……って思ってるのに、こうして何回もここに来てるオレは……どうすりゃいいんだろうな。自分の事なのに、よく分からねぇ。

……またいつかお前に会えたら、その時は……いよいよ腹括らねぇといけないかもな。なぁ、ベルトルト。
2 ベルトルト・フーバー
……きっと、この書き込みの主は僕が知って居るジャンだと思った。だから…少しだけ書き込ませて貰うね。

ジャン。君にあの返事を貰ってから自分の事を何度も何度も攻めたよ。きっと、君にはその気が無かったのに好意を押し付けて迷惑を掛けた、嫌なことを誘って気まずい思いをさせてしまったって。正直、僕の事なんか嫌ってるんだと思ってた…面倒な奴だって、そう思ってるんだと思ってた。

でも、あんな短い時間で沢山の魅力を感じて…これからも一緒に居たい、そう思ったんだ。いきなり告白とかして本当にごめん。苦手なことを誘ったりしてごめん。…でも、あのとき告白したことに後悔はしてない、君に思いを告げられて良かったと思ってる。あのときからずっと君の事を考えて、今は何をしてるんだろう、忙しくて体調崩してないかとかすっと考えてた。

言っただろ?…僕は待ってるって。ジャン…君の事を、待ってる。君の決心が付くまで待ってるよ。