1 エレン・イェーガー

ああ、駄目だったのに。
声にして、体温に手を伸ばして、甘やかされてしまったら……これからの一人が好きなんてバカな強がりも、頼りなく弱くなってしまうのに。

きっとあれは、彼奴のその時のただの気紛れで、きっと本来は望まない。
そんな夢の一部に触れたような、そんな瞬間を渇望しても…手に入るなんて、また感じられるなんて有り得ねえのに。

心地良かった、オレに普段はないものをくれた掌が。
せめて一夜だって、もっと感じたかった…
あったかい、部屋の中……それよりももっとあったかくて安心した腕の中に埋もれていたかった。

眠ろう。夢に現を抜かしちゃ、駄目なんだ…