1 リヴァイ

泥沼

いつか、時が過ぎ去れば、この身を裂くように苛む痛みから救われるのだろうか。

任務に忙殺されているお前を困らせたくはないと飲み込み続けた思いが、いつか噴出しそうだとは解っていた。そこまで解っていたのに、どうにも出来なかった。
お前を愛していたから。
俺が幾度となく吐いてしまいそうになった 寂しい の一言が、忙しいお前の重荷になるのを恐れて、自分で抱えた結果、とんでもない重みになった。それを抱いたままではもう、お前のもとへ自分の力で歩くことも出来なくなって。
溜まりに溜まる不安はいよいよ俺の呼吸さえも押し殺し始めた。
久々にお前が帰って来た時、さも平気なふりしてお帰りと言うのも、苦しくて苦しくて、全てを吐き出してしまいそうな衝動を必死で堪えて取り繕った。
いつまでも黙って待っている都合のいい存在だと思われているんじゃないかと、己の中で認めるのが怖かった。お前が本当はどう思ってたかなんて、終ぞ知りはしなかったが。
一人で勝手に作り上げた泥沼に、一人で勝手に溺れてたんだ、俺は。

…お前が悪いんじゃない。弱い俺が悪いんだ。
許してくれ。愛してた。俺の全身全霊をかけて、愛してた。愛してる。今でも。