1 リヴァイ

「幸せにする」

なあ、憎むべきは何だ。
あの時お前を選んだ、自分か。情が移る、…少しでも信頼性が生まれる前にさっさと離れなかった、自分か。
…他人の世迷言を信用しちまった自分、か。

結局、今迄信じて来た奴等の言葉は全て戯言だった。
「ずっと、いつまでも」
「貴方だけです」
「幸せにする」
「無言で消えたりはしない」…


…何、もう繰り返さねえよ。馬鹿は見ねえ。
繰り返した数はどれだけか、それももう忘れよう。好いた相手も、な。

結局の所、人間は独りだ。
殺しも任務も日常も、俺1人で構わねえ。
人恋しさや寂寥感を感じる暇があるならその間にやることは腐る程あるだろう。

強くあれ、と自分自身に言い聞かせる。
2 エルヴィン・スミス
お前の言葉を気になったもので少しお邪魔するよ、リヴァイ。

確かにこの世界、ずっとなんて言葉は不確かで…信じ続ける事の方が難しいだろう。
私とて今の相手といつまで共に居られるかは分からないが、今はとても幸せだ。
沢山の出会いと別れを繰り返して今の相手と幸せになっている。

独りの方が良いなどと言わないでくれ。
お前が心許せる相手と巡り会える事を願っている。
3 リヴァイ
反応があるとはな…表現は悪いがどうやら俺は暇潰しの運には恵まれているらしい。
吐き捨てた言葉への返事を感謝する。


出会いと別れを繰り返して、俺が結局得た物…上手くなった物はおべっかや愛想くらいしかねえ。
繰り返す度に信じちまった自分を嗤う、そしてその度に一人で立とうと振舞う馬鹿みてえな強がりを身に付ける、そればかりだ。
俺は人間への寄り添い方も甘え方も知らねえ、だから何かと上手くも出来んだろう。

「お前は一人で大丈夫だ」と強くあらんとした自分を肯定され、俺が俺でなく何処かの誰かの理想でしか無くなる。
それを辞めるにも、もう辞め方すら見えねえ。
だがそれで良いんだろうと、思う。
寂寥、懐古、渇望…それらを見ねえように気付かねえように、馬車馬の如く自分のケツに鞭を打つのは、…まぁきっと俺には相当の似合いだ。


有難う。だがその願いは何処か違う所へ持って行ってやってくれ。