栄養剤も効かず

随分と。…いや。酷く疲れた。年末に向けての積もりに積もった書類共のせいか、また大して座り心地も良くない椅子に縛り付けられて仕事をしなければならんという窮屈のせいか、まともに熟睡することも敵わん。
…栄養剤？滋養剤？そんなものとうに効かなくなっちまった。灰皿にも煙草の滓が溜まるばかりだ。

汚ねえ部屋。荒れた机上。白煙の匂いが漂う部屋で、俺は今から寝ようと思う。もう色々と詰まった、意地でも起きねえ。だからそこのお前、日頃の俺の疲れを労っておやすみの一言ぐらい寄越せ。ついでに掃除を、……あー、いや、何をどこに置いたか分からなくなるからそれは止めろ。上手く寝れないとしても、誰かの声を聞けば寝れる気がする、だろ？
起きた時に酒の一本や二本、礼にやるからよ。酔狂な申し出だっつうのはよーく知ってる。
んじゃ、おやすみ。


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以前、おやすみを言いに来た律儀な奴等には酒を配って回ったが届いているだろうか。改めて礼を言っておこう。

――さて。今日も執務を終えたが机上の書類は未だに何処にも行ってくれない程鎮座している。いい加減苛立つのも当たり前だろう。
何、一晩寄越せなんて言わねえよ。今日は疲労回復にぴったりな酒か料理でも勧めてくれねえか。食事が疎かなのはいけねえと部下に執拗に叱られたばかりなんだ。序でに美味い店でも紹介して貰えたら万々歳なんだが――。…礼は飴玉しかねえけど。

自信を無くした。疲労ってモンは要らねえものびかり持って来やがる。おかげでインクの壺をひっくり返すは書類を破るは本を投げるわ、で。…我にかえってからさすがに落ち込んだ。
たまには優しい言葉ぐらい、かけてくれよ。

新年とやらがめでてえのかどうなのか。少なくともまーた年をとっちまうのが新年だとは思っているが。

随分と古く傷んだ記事を引っ張り上げることを許せ。強風のせいでガタガタとうるせえ窓の音をバックに何か話してはみねえかと。大人らしく悩みにのってやんのもいいし惚気も聞き専門でいいならまぁ…。珈琲かホットミルクぐらいは出してやるが生憎寝台に上げてやるつもりはねえ。…今はな。