ささやかな夜。

シュトーレンも買ったし少しばかし贅沢な茶に葡萄酒も用意した。あと必要な物は、眠りに呼び込まれる迄の時間を語らえる相手のみ。ー若しもお前が今夜手隙ならば、聖夜の前々日にはなっちまうが緩やかに話しをして行かねぇか?今日の出来事や柄ではないが色恋談義、くだらないボケツッコミの応酬…何だって構わねぇ。
気が向きゃ撫でる位はしちまう、それを許せて仮宿使用の大人組幹部組の野郎なら姿も性別も問わん。こっちは俺の他にもエルヴィンが控えて居る。プチロルと言われる物は苦手だから、描写を付けるなら短めからで頼む。

世間は恋人に友人にと盛り上がり一際賑やかしくなる日の前夜、この静かな時間を互いが聞き取れるだけの無理なき声量で共に出来たら…。動いているかも分からなくなっちまった左胸が仄温かくなる気がする。

一席共にしても良いと思う者は好きな姿で好きな方を指名し、茶と酒とどっちが好みかを直接俺の部屋に伝えに来てくれ。鍵は開いている、ノックは任せる。
僅かな期待を夜空に浮かべて…。