噂話。(R20/固定)

傍にいるのが普通だと思っていた。巨人に関する資料を漁り、人類進撃の礎を築き上げる為の手法を、その在り方を、一身に纏い策を練る男の隣へ俺が立ち続けていたように。俺の隣には一人の男がいて、そうして続く日々が当たり前だと思っていた。この男のことは俺が一番よく知っている。殺伐とした時間ばかりであったとしても、共に肩を並べて過ごした時間は確かな自信を俺に植え付けていた。俺が一番知っている。この男の在り方、その視座、目指す生き方を。

“エルヴィン団長に恋人が出来たそうですよ”

部下から聞いた一言に、俺は持っていたブレードの柄を無意識の内に掴んでいた。
ーー待て。俺はそんな話、彼奴から一切聞いちゃいねェ。

【条件】
本体成人済み女性
仮宿使用(xx、e箱、G)
描写のみ最低100字〜
期間は最短一日〜一週間(区切りのいい所まで)

唐突に舞い込んだその一言は、俺の足を動かすに十分な威力を持っていた。向かう先は勿論、恋人が出来たと噂の金髪碧眼野郎の部屋。ノックもせずに大きな音を立てて扉を開き、書類の山に囲まれ執務へ着手する男の姿を見留める。“どうしたんだ、リヴァイ”なんて俺の名を呼ぶ声に思考が弾けて、もう止まらなかった。

恋人が出来たそうじゃねえか、それは本当なのか。何故俺に言わなかった。その恋人はどんな奴だ、どこで出会った、お前から好きになったのか。それとも告白されて付き合ったのか?いつの間に、俺の知らない所で、いつの間にお前は。
そんな言葉は何一つ形にならねえまま、お前の胸ぐらを掴んで引き寄せ、気付けば無理矢理その唇を奪っていた。驚いた碧眼が丸く見開かれる。今まで築いて来た関係が崩れる音を聴く。最低だ。最悪だ。人生初味わった、最低最悪のキスだった。


開始は上記の通り、俺がお前の唇を奪った所から始めたいと思っている。お前に恋人が出来た云々に関しては、本当でもただの噂でもどちらでもいい。お前が俺へ抱く好意の形に関しても随意に。極論、突然口付けた俺を気持ち悪いと、見損なったと軽蔑してくれても構わねえ。何と言っても野郎同士だ、今までのような関係には戻れないと俺は思っている。そして、どちらにしても俺の感情は変わらない。

好きだった。好きでいる、無意識かどうかは別にして。俺はお前に、心の底から惚れている。それでも別段お前とどうこうなろうなんざ思っちゃいなかった。そうして油断した結果がこの様だ。情けねェ。
後は流れに任せて話が出来ればと思っている。怒るも嫌うも好きにしろ。笑うもドン引くも好きにしろ。ただこの恋を握り潰すか、一時のみでも成就させるかはお前の心持ち次第と告げておく。

裏と継続は基本無し、故に属性は不問。いい歳重ねた大人二人で、青春にも似た甘酸っぱい空気を堪能出来りゃあな、と。
最後は強がりでも本心からでも、笑って部屋を去れりゃいい。


以上だ。長々とした独白を読んだ上で俺に唇を奪われても良いと思えた酔狂な団長殿は、件名を空白で必要だと思うこと、流れに沿った描写を添えて鳩を飛ばしてくれ。
記事削除まで、此処でお前の来報を待つ。
改めて、再度お前の名前を呼ばせて貰う。

お前が好きだ。
この一言が、お前の心に届くことを願って。