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夢見は良いに決まってる。

僕を甘やかしてばかりいた、ライナーへと宛てる。
君と話した心地良い時間から僅かだけど空白が出来てしまった。君は気付いてくれるだろうか、僅かな望みに賭けてペンを取ろうと思うんだ。
曖昧な記憶には鞭を打って、君と僕を結ぶ鍵を。


・最後に残った君と僕。
・二人きりの時間はほんの僅か。
・離れ惜しむ僕は睡魔には勝てなかった。
・絆されているのは君の方。


あの時勇気を出して君の手を握っていればこんなもどかしい思いをしなくて済んだのかな…わからない。ただ一つ言える事は、僕は臆病者だって事。
今も手が震えてまともに文字を連ねられないでいるんだ、笑わないでよ?言葉を残すのは初めてなんだ。
それでももう一度君と話したいと、怯弱な心を奮い立たせてた僕を褒めてよね、ライナー。


短冊に込めた願いが、如何か君に届きますように。
僅かな望みなんて言ってるくせに、俺がしっかり此処へ戻ってくると分かった口調じゃないか。早速笑っちまった。
あの日の確かな記憶を手繰ってみたものの、なんせ鍵らしい鍵はお前が提示してくれたもんで、証明出来る残りと言えばこれでどうだ。


・俺とお前の仲。
・譲り合った見送り役。
・互いに無防備。


半信半疑にミミズ文字を眺めて一晩、ペンを握りながら考えても何を話したか思い出せないでいる。
…おっと、怒るなよ?お前を忘れた訳じゃない。ま、そんな事は分かってるよな。
七夕の願いを叶えてくれた希望とお前を惜しみ無く賞賛させてくれ、ベルトルト。


遣いの鳩を一羽置いておく。
次の書き置きでも言伝でも、選択は委ねるぞ。こんな時まで意志がないとは、言わないよな。