酒とワルツと上着

先日の餓鬼、アッカーマンに宛てる。

鍵は題で判るだろうが、他に挙げるなら俺が立てねえお前を担ぎ上げた事くらいか。

――……上着を返す気ならお前の反応を此処で、少し待っていてやる。

驚いた、兵長が先に動くとは…嵐の前触れ？

鍵は
『果物を食べたら気持ち悪くなった』
『↑と↓の表記間違い』

どう、私だと分かってくれる？
今から時間が取れる、けど…もし兵長にも時間が有るなら話がしたい。

…ああ、其の鍵。テメェで間違いねえ。
随分と早い鉢合わせだな、アッカーマン。

長くは居てやれんが其れでも良いと言うなら此れからでも構わん。
free207で待機する。

先に出てしまった…後で気付いた。
その、また会って貰えるのか返事を聞いて無かった、けど…会える？

それと今夜は遅く迄は無理と言いながらもこんな時間迄付き合ってくれて有難う御座いました。もっと沢山、色んな話がしたいと思う。ワルツの約束もまだ果たせていないから。

上着の約束も果たされてねえだろ。会ってやる。
何時なら都合が良い、新兵よ。

俺の方も本日部屋に赴いて来た事に感謝だ。
くれぐれもワルツにヒールは履いて来てくれるな。

まさか直ぐに言葉が綴られてるとは思わなかった。兵長は私を驚かせるのが得意のようだ。

私の都合としては明日の夜か土曜日の夜が良いが兵長の都合に合うだろうか。

ハイヒールで踏まれたらきっと痛い、でも…ぺったんこの靴では様にならないと思う。

特別驚かすつもりは無いがな。どうもタイミングというヤツだろう。

明日の夜であれば恐らく任務も終えている。…時間は何時だ。

チッ、面倒くせぇ…仕方無えから低いヒールなら妥協してやる。
――…踏むこと前提で話してんじゃねえ。

あまりにもタイミングが良すぎて疑ってしまう。

夜の８時以降なら何時でも合わせられる。どうせなら長く一緒に居たい…。

それなら低い物を探して貰う。
――私のワルツは付け焼刃、踏まれても仕方ないと諦めて。

狙ったようなタイミングだが偶然だ。奇妙な事も有りやがる。

生憎夜十時頃になっちまいそうだが、構わんか。

相応の靴を探して来い。上から見下ろされるのは癪だ。
――…其のうろ覚えの踊りも少しは練習して来る事だな。

奇妙な事、でもサプライズみたいで驚いたけど嬉しい。

分かった。なら用意が出来たら知らせて。

…既に見下ろす身長差なのは無いことにしてる？
――…貴方がリードしてくれる事を期待しよう。

…遅れちまった、すまん。
今しがた任務を終えて来た、先日と同じ場で待機する。

来るなら来い、クソガキ。

昨夜は不甲斐ない姿を晒してしまった、恥ずかしい。

けど…兵長の石鹸の匂い、嫌いじゃない。寧ろ好きだ…と、感じた。

明日の夜また時間が取れる、兵長は都合良い？
――ドレスを選んで欲しい。

此処に気付いて無いかもしれない、ので…。多忙ならごめんなさい。
兵長の都合の良い日が有れば知らせて。

待たせちまった事、謝罪する。…すまん、アッカーマン。
あれから気の方は落ち着いたのか。

恐らく今週は水曜から土曜の夜にかけては暇が取れる。
ドレスを選んでやる、お前の都合も訊かせろ。

あの時に兵長の都合を聞いておくべきだったと後で反省した。
私も落ち着いている、ので大丈夫。

今週は特に都合が悪い日は無いから合わせられる。

ドレス、選んで貰ったので踊りたい。

…そうか。
なら明日か明後日の夜はどうだ、…其処なら確実に会ってやれるが。

ほう？一体誰にだか知らんが、足を踏んでくれなけりゃ問題無い。
上官相手にお前がどんな踊りをするのか見てやる、それ相応の覚悟で挑め。

え……。……言い間違いだ。ドレスを選んで貰いたいと言いたかったのに何故か決定形になっていた。
ドレスは兵長に選んで貰いたいまだ選んでいないから。(落ち込み)

明日の夜？大丈夫だ空いている。明後日なら遅くまで大丈夫だが…早く会いたいので明日のが良い。

…あまり期待はしないで、付け焼き刃に変わりは無いので。

またエルヴィンの野郎かと思ったじゃねえか。
……良いだろう、選んでやる。

今夜また十時頃なら足を運べる。其れまで待てるか、クソガキ。

…元より餓鬼の付け焼き刃に過度な期待はしていないつもりだ、安心しろ。

もしかして…団長に妬いてる？
何着か持って部屋に行く。

十時前後にまた見に来る、それまで用意をして待ってる。

…兵長もあまり上手では無いと言っていた、私が踏まれる可能性も有る…。

…レス蹴り許せ、今から何時もの部屋で待機する。
必要な物を持って来い。

――追って記す、等と口を叩いておいて随分待たせちまったが、…ドレスと上着は未だお前の手元にあるか？アッカーマン。

急な話だが、明日か明後日は時間が取れる。
…俺もお前の都合を訊いてなかったが、返事を待つ。

勿論上着もドレスも捨てていない、手元に有る。

丁度上げに来たら言葉があったので…またしても驚かされた、悔しい。

今週は今日が駄目なだけで後は平気。なら明日…会える？

こうも偶然が重なりやがるってのはどういうことだ、毎度お前を驚かせんのにも最早愉しさすら覚えて来たが…悪くねえ。

明日だな、構わん。何時もの場に十時頃で良いか。
其の場に先客が居る様なら改めて場所の連絡を入れる。

場を確保した、…待っている。

今でも夢を見てるのかと思う様な時間だった。

眠くて約束を忘れていないか、心配。