1 モーリッツ

黄ア泉リのス国の

久しいな、実に5ヶ月ぶりあたりとなるのか。
私もいかれたものだ、あんな可笑しな世界に長居するのはごめんだと思っていたがアリスを始めとした民達との交流を好んでいただなんてな。私も矢張り人間らしい、あのまま放置というのはどうにも口惜しい。
そこで、このスレを今回は立てさせて貰った。取り敢えず、私の鍵を残していくから心当たりがあったら是非書き込んで貰いたい。

・長い本名
・白いベールで顔を隠す
・役職:芋虫
・本貸し
・煙管

ここまでの閲覧ぐらいには感謝してやろうか。
もう5ヶ月?おいおいほんっと早ぇもんだなあ、時間が経つのはよぉ。
モーリッツだっけ、直接話したことは無ぇが……あんたのこと、噂で聞く程度にチラっとなら知ってるぜ。あの世界で貸本やってた、ちょっとばかし変わった風貌の男だろ。
あんたが俺のこと知ってるかは分からんが、俺も多分あんたと同じ世界に居た……と思う。

こんなとこであの世界の住民に会えるなんて思ってもなかったから驚きゃしたけどさ、これも縁ってやつか。俺もあそこで知り合った変わり者達がまだ忘れらんねぇし、何よりゲームに決着がついてないのが心残りだ。未練があるもん同士仲良くしようぜ、モーリッツ。

・クラブのジャック
・纏まりのないジグザグな髪型
・戦闘好きの負け犬気質
・頭が弱い
・森で標識相手に本気の喧嘩

一応鍵、と、連絡先置いとくわ。これからどう転がんのか分かんねぇけど、もしなんかあったら手紙くれ。
他の奴等も見付かるといいな。まだまだ話し足りねぇ奴もこの手で斬りてぇ奴も、沢山居るしよ。
書き込み感謝しよう、アハトとやら。貴様の噂なら勿論小耳に挟んでいる、血気盛んで愉快なジャックだとな。
そんな性格の者と交わる事は予想通りなかったが、しかしその意見には賛同出来よう。ゲームが途中で止まる時ほど退屈な事はないな。
だからこそ、私はあの世界にいた者を求めている。
私と関わりのなかった者でもこのあの世界に覚えがあるなら書き込んで欲しい。
それでは一旦失礼する。
出遅れた感は否めないが、見覚えのある名が二つも揃っていて黙っている訳には行くまい。其れに、主役は遅れて現れるものだと相場が決まっているからな。…何て、冗談だ。
いやはや、まさか5ヶ月の時を経て、再び『あのゲーム』の事を思い出す事になるとは…因果とは恐ろしいものだな。しかし実に懐かしい。二人共、元気だったか?と…冥界で元気も何もないな。

俺もゲームの続きと、皆の行方がずっと気になっていた。御前達を含め、彼処の住人は個性的で愉快な連中ばかりだったからな。そう簡単には忘れられないし、何より心残りが多過ぎる。
嗚呼、今更だが鍵を挙げよう。

・ダイヤのアリス
・二つの泣き黒子
・記憶喪失

モーリッツとは、冬の朝に共闘した事があったな。其の際、働く宛が無ければうちに来いと言ってくれた。
アハトともう一人の『少女』は俺の大切な友人だ。薔薇の園で語り明かした日の事、忘れたとは言わせん。

ふむ…こんな所か。俺も一応連絡先を残しておくから、何かあれば気軽に連絡をくれ。果たし状から恋文迄受け付けているぞ。
最後になったが、他の住人達にも出会える事を祈っているよ。では、また。
済まない。上の連絡先からでは手紙が届かない様でな、何かあった時は此方から連絡してくれ。