吉良さん。

出会った場所の名前も、何年前のことかも、他の人のことも、なにも覚えていない僕ですけど…吉良さんのお名前と屋上でみた星のことは覚えているんです…。

もうこの世界にいらっしゃないかもしれないですけど、奇跡を信じて…ます…。
君からのメッセージ、気付くのが遅くなってしまって本当にごめん。
先程、メールを送らせてもらったよ。けれど小夜さんの元にちゃんと届いているかわからないから、こちらにも一言残させてもらうね。
今度は僕が奇跡を願う番だ。


青とピンクのブランケット
星降る夜の奇跡…なんて。
お返事を打つ指が震えるのは寒さのせいなんかじゃない、です。
僕からもお返事を返しました。
まさか、こんなに早く願いが叶うなんて。君に伝えたい言葉が多過ぎて…胸が張り裂けそうだ。
…だが、その前に謝らなくてはならないことがもう一つ。どうやら小夜さんの返事、届いていないようなんだ。もし可能であれば、こちらの宛先から改めて送ってくれるかい?
長い間待たせた挙げ句、僕の都合ばかりに振り回して本当に…本当にごめん。
5 葉月小夜
気付くのが遅れてしまいました…!
あの、えっと…吉良さんはなにも悪くないので謝ったりしないでください…。
こうしてお会いできただけで、僕は幸せです。

今度は届きますように…お祈りしながら、送信しました。
携帯、壊れてしまったのです…。
……、ごめんなさい。