蒼髪の美しい鬼へ宛てる

あの日、病院の屋上であなたと出会ってから今年でもう11年になる。

あなたはまだこの世界にいるの?

『どこへだって迎えに行くよ。君に会いたい。』
そう、残したくせに。ばか、ばか、…馬鹿。
そのくせ「嘘吐き。」と罵ることができないのは今でもあなたを信じているからで。

自分でもこんなのおかしいって思うけれど、あなたのことがずっと忘れられなくて、あなたを想えば涙が溢れて、想いの丈を書き綴って、書き綴って、書き綴って。

長身に襟足だけ長い蒼髪 腹部の真っ白な包帯
私を抱く温かな腕 「冷たいお姫様」と笑う声

重いってことは分かってる。だけれど想わずにはいられないの。
でもね、もう一度会えるとは思えないし、会えたとしてもあの頃に戻れるわけではないことも理解してる。
だからあなたはもう亡くなった人って思い込もうとしたんだけれど、やっぱりだめみたい。

恋しくて、切なくて、寂しくて、あれからずっとあなたの面影を追い求め続けて。最近またこの世界に戻ってきて、ほんの少しだけ、寂しさが紛れて、あなたを想って泣く時間が短くなって。

このままあなたを忘れられるんじゃないかって

なんて、馬鹿ね。あなた以上の人なんていないのに。
そんなことない?
じゃああなた以上の人がいたとして、

それでも私はあなたがいい。
あなたじゃないと意味がないの。

もしあなたがこれを見つけてくれたなら
一言でもいい。あなたの言葉が欲しい。

ねえ、愛してるわ。

去年までの十年間も
今年も来年も再来年も

ずっとずっと、釵焚だけを。

あなたの口癖のような「永遠」と「君だけ」と「愛してる」に今も私はまだ夢を見てる。