短期募集

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1 天祥院英智
箱、或いは密室。
広い舞台の上を右へ左へ駆け回り、目の前にはサイリウムの海が。高みに君臨し続ける為にはそんな光景を当たり前に思う傲慢さも必要だ。けれど初心に帰るつもりで、少し時計の針を戻してみて。…そう、あの病室の真っ白なベッドの上で、というのは御免だけど。狭い狭い箱の中に閉じこもっていたくなる時が、今でも不意に訪れる。有難いことに人並みに育ってはいるからあんまり小さな箱だと満足に身動きも取れないだろうけど、大袈裟な身振り手振りでパフォーマンスして見せるのが目的じゃない。ただ、独り言にしかならないこの声に行き場を求めてみたくなった。…唇から零したこの声が空気を少しばかり震わせて、それでも壁にすら届かずぽとりと床に落ち、ゆく宛ても無くまた僕の鼓膜から腹の底に吸収される。なんだか酷く惨めなことだと思わないかい?そうじゃなくても悲観的に捉えてしまう今の現状を良しとはしないから、君の存在が必要なんだ。
一緒に解決策を探ってくれなくともいい。標的が定まれば、弱々しい僕の声がほんのりと芯を持つかもしれない。つまり、おしゃべりの練習に付き合ってほしいんだ。…お相手を願うからには君の耳元にささやかな彩りを添えられるように、というのが目標かな。あまり長く時間を取らせる訳にもいかないし、期間は出会ってから一週間。遣り取りの形式は帯の使用。見知った顔なら誰でも歓迎するよ。
…では、望み薄ではあるけれど縁があればまた。

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