短期募集
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1 膝/丸墨を磨る春花は桜木、人は武士。…どちらも散り際の潔さを美しいと讃える句らしいが、本/丸の桜はまだ散らない。固定された景/趣の中ではおなじ陽が明け、満開の花弁を飽きもせず風が散らして、夜ごと春霞の月が昇り、沈む。やれ若菜だ柳だ春立つ風だと風流趣味の刀は騒ぎ立て、あちらでは野点があってこちらでは酒宴がある。興味もないといったつらをした刀とて、濡れ縁に桃の枝ひとつ咲きこぼれていればそれを肴に一献やる。咲く花の匂いはあまく、空はただ青く、光はとろとろと暖かく、万事泰平にして──俺だけがただ、陽気に微睡みきれずにいる。
紅梅の香が漂うたび、池の橋に降る桜を眺めるたび、この春を共に出来ればどんなによかったろうと、そう思わずには居られんのだ。
✿提供
膝/丸
✿募集
「髭/切未顕現の本/丸」に属する膝/丸と文通をしてくれる髭/切
✿媒体
捨宿または帯
✿傾向
シリアス〜ギャグ、雑談〜物語重視までなんでも/暈しは強め
この文が、どう時空を漂い何処の本/丸……あるいは政/府、はたまたどの陣営の兄/者へ届くものか、俺には分からん。
ただ兄/者の居ない空虚に耐えかねた俺の見る、浅ましい春の夢かも知れぬとさえ思う。
刀の身で慣れぬ筆を執り、どことも知れぬ虚空に向けて文を放る滑稽さを笑ってくれて構わない。
ただその一度だけ、文字の上だけでも──俺はやはり、あなたの微笑む顔が見たいのだ。兄/者。
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