1 無名さん

6月上旬に響き渡る

堂々たるフライングをかました、セミの声。

然るべき季節になきなさいよ!よ
舌打ちしたくもなったが

それはそれで、妙に胸に染みわたるものがあったのだ。

スッ歩抜けた人生の端っこで
高らかに歌うがいいさ

全くお呼びでないそのタイミングで
高らかに歌うがいいさ

そして

夏まで届け!夏まで届け!
夏まで届け!夏まで届け!

君の声よ夏まで届け!