16 無名さん
パレードの出発地点となっているからだろうか地下に位置している更衣室にも表の熱狂振りが伝わってくる正にお祭り状態の中、とりあえずと身近にあった衣装に身を包んだだけでも協調は取れただろうと道中抱えていた違和感を払拭した安堵感からか既に何かをやり切ったような落ち着き振りで黙々とお菓子を食べ進め。時々仮装を済ませた人々が目の前の扉から出入りする様をぼんやりと眺めつつ、今後どう動こうかと思案はしているのかお菓子と共にテーブルに置かれていたパレード内容の詳細が記載された用紙を手にして様々振り分けられている活動内容文に視線を左右へとゆっくりと滑らせていたところ、背後からの呼び掛けに反応して顔だけそちらへと振り返り。視線の先に映った人物が手の込んだ仮装をしていることもあってか己の記憶に該当する人物は思い浮かばないものの、明らかに己に向かっての呼び掛けだとわかるのは噛み合う視線からで。掛けられた言葉に疑問を抱くも、瞬間逸れた視線によりミラーを通して己が警官の仮装をしていたことを思い出し疑問の内容は解消されると同時に聞き慣れた部屋番号に浮かび上がるのは一人のクラスメイト。芋づる式にまだ記憶に新しい出席簿でのやり取りが直線で繋がると漸く口を開いて)──覗きも気になるところなんだけど…隣室は俺だからすぐ逮捕できるんすよ。それよりも俺は今目の前に居る不審者に色々と職質したいかな。とりあえずそれは何の仮装?